タクシー、野菜も相乗り 鹿児島・さつま町 高齢農家の出荷代行 過疎地域の足も確保

「やさいタクシー」の運転手にニンジンやジャガイモを詰めたバッグを渡す湯田さん(右)=24日、鹿児島県さつま町
「やさいタクシー」の運転手にニンジンやジャガイモを詰めたバッグを渡す湯田さん(右)=24日、鹿児島県さつま町
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 乗り合いタクシーに野菜も相乗り-。鹿児島県さつま町は交通弱者対策として運行する乗り合いタクシーで農家の野菜を直売所に出荷代行する「やさいタクシー」の試験運行を始めた。トランクに野菜を載せ、人と一緒に運ぶ「貨客混載」の仕組み。自治体主体で、地域の足を確保しつつ、高齢農家の負担を減らして直売所の品ぞろえも維持する珍しい取り組み。町は10月の本格導入を目指す。

 県北部に位置するさつま町は人口約2万2千人。高齢化率は4割近い。町は2011年から地元タクシー会社に委託し、交通手段がなく通院や買い物が困難な高齢者ら向けの予約制乗り合いタクシー(6路線)を大人1回200円で運行中。

 試験運行は同町鶴田地区の2路線で22日から2月9日まで週3日実施。人の送迎の途中で、予約を受けた農家から野菜も集め、最後に路線外の直売所「自慢館」まで野菜を運ぶ。ニンジンなどの出荷を頼んだ湯田隆義さん(84)は普段、直売所まで約8キロを自ら運転するが、高齢のため、先々は運転免許の返納も考えている。「出荷できなければ農作業のやりがいを失う。代行は助かる」と語る。

 自慢館によると、同地区で出荷する会員は約190人。5年前から約30人減った。新鮮な地元野菜が売りなだけに担当者は「運ぶ手段があれば農家のやる気を保ち、生産者の掘り起こしにもつながる」。町内のほかの直売所も同じ課題を抱えており、町は10月から町全体に拡大。集荷料金は1回100円程度を見込む。

 国土交通省貨物課の担当者は「自治体の乗り合いタクシーによる野菜の出荷代行は聞いたことがない」という。やさいタクシーを町に提案した九州経済研究所(鹿児島市)の真竹龍太主任研究員は「直売所は過疎地にとって不可欠な生活インフラ。生産者も直売所も助かる『地域の足』の仕組みを確立したい」と話している。

=2018/01/28付 西日本新聞朝刊=

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