「ここで生きるネット」発 飯干辰己・前宮崎県五ケ瀬町長

飯干辰己さん
飯干辰己さん
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◆ごかせ未来塾

 かつて町長を務めた宮崎県五ケ瀬町で、5月から「ごかせ未来塾」を開いている。肩書は塾長。20~30代の若手職員を対象に月1回、町の課題や地方創生などについて語り、みんなで「気づく」場をつくっている。若手職員はポテンシャルが高く、感性も豊か。それだけにモチベーションを高めて仕事に臨めるよう、支えたいという思いがあった。

 五ケ瀬町に限らず、全国の自治体職員は皆、忙しい。職員が減る一方、国や県からの各種調査依頼、制度改正への対応といった煩雑な業務は増え、腰を据えて住民と向き合い話す時間が減っている。その中から自ら勉強する時間をひねり出すのは難しいだろう。終業後に居酒屋で先輩たちと意見を戦わせる習慣も、最近では少なくなったと聞く。小泉改革で叫ばれたのは「民活(民間活用)」だが、民間企業が少ない中山間地域では行政の力を生かす「官活」が本当は大切であろう。

 「未来塾」では毎回、テーマを決めて話している。これまで「目的と手段」「個性と感性」などをキーワードに行政マンの役割を考えてきたが、印象深かったのは同県国富町の女性職員を講師に迎えたときだ。彼女は県内の行政マンによるネットワーク組織の代表で、自治体の枠を超えて勉強会などを開いている。南北に長く、沿岸部も山間部もある宮崎県。自治体が抱える課題も、価値観もそれぞれ違うだろう。しかし職員たちがつながることで理念を共有し、自分たちのまちと向き合える。そのことの重要性に参加者たちは気づいていたようだ。当たり前の取り組みかもしれないが、刺激を受けた若手たちの今後に期待したい。

 鳴り物入りで導入された地方創生は一定の成果が上がっているのだろうか? 個人的にそう思えない。平成の大合併の時もそうだったが、地方が中央の考え方に従うだけでは真に地方の活力は生まれないと考えるからだ。自分たちの町のことを一番知っているのは自分たち。アンテナを高くして情報を集め、まず自分たちに何ができるか考え、気づくことが肝要だ。中央の意向もあり、やりづらさもあるだろう。だけど若い職員から少しずつ変えていってほしいと願っている。 (談)

 飯干 辰己さん 1956年、宮崎県五ケ瀬町生まれ。同町の企画商工課長を経て、2002年5月に町長に初当選。14年5月まで3期12年務めた。熊本県南阿蘇村在住。

=2018/09/23付 西日本新聞朝刊=

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