「ここで生きるネット」発 熊本 伴 クリエーター

熊本 伴さん
熊本 伴さん
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◆額装するまち

 炭鉱まち飯塚で昔から親しまれてきた「ホルモン」を石炭に見立て、ご飯の底から掘って食べる「ほるホル丼」を当地グルメとして発信。高齢者の方々を讃(たた)えるイベント「介護なき讃会(たたかい)」を企画し、65歳以上によるダンス選手権「シルバー青春ダンス甲子園」を毎年10月に嘉穂劇場にて開催。福岡の方言「~しか」と動物の鹿を組み合わせたキャラクター「博多のしか」も考案。ここ数年、まちづくりやイベント企画を数多く行っている。しかし、本業は額縁屋だ。

 額縁は、サイズに合わせて製額するオーダーメード。平面、立体、なんでも収める。

 もともとはサラリーマンを経てアートポスター販売を始めるが、既製品のポスターはなかなか売れず。そんな時、ある雑貨店から聞いた「バレンタインではチョコよりもラッピングに凝る」という話をヒントに、中身を引き立たせる額縁屋となった。

 額縁屋となった当初より「布を額縁に収める」ことを主にしてきた。特に、各家庭には先代が残した着物などタンスで眠る布があり、柄のよいところを額縁に収め、インテリアとして生まれ変わらせている。

 今思えば、現在行っている企画の原点は、この「思い出の品を新たに生まれ変わらせる」という額縁なのかもしれない。

 ホルモンしかり、ダンス甲子園しかり。これまで考案した企画は、もともと存在していたものに違う角度でアプローチをかけて演出したにすぎず、額縁と似ている。

 まちづくりについて尋ねられると、どの地域にも人の数だけ物語や歴史があり、「うちには何もない」と悔やむことはないと、いつも言っている。

 その地域に転がる石は、その地域にしかない石であり、色を塗れば特別な石となる。認識できるすべてのものに関心を寄せ、違うアプローチで演出してあげれば、そこにしかない「新たなものとして生まれ変わる」。

 額縁で装い中身を引き立たせる「額装」。まちも額装できると信じている。

 熊本 伴さん 1969年生まれ、福岡県嘉麻市出身。99年から旧嘉穂町議(後に嘉麻市議)を2期務めた。地元女性の“熟女ユニット”によるホルモンPR、1カ月におよぶ婚活イベントなども企画した。同市在住。

=2018/10/21付 西日本新聞朝刊=

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