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政治主導で「女性も仕事」 【第16部】誰もが輝く国へ ノルウェー・リポート<2>

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 テレビが衆議院の質疑を中継している。カメラがスッと引いて映し出した議場は灰色一色。議員の90・7%を占める男性のスーツの色だ。私たち日本国民の代表は似たようなスーツを着た、似たような属性の男性ばかり。これってどうなんだろう。

 「権力の半分を女性が獲得しなければ、真に平等な社会にはなりません。だって世の中は、男女半々なんですから」。ノルウェー国会副議長のニーバックさん(69)はこう力を込める。現在の内閣は、女性首相を筆頭に女性9人、男性10人で構成する。「男性の大臣が『子どもを保育所に送らないといけないから朝9時前の会議には出ない』と言うこともあります。女性だけが仕事も子育てもと2倍背負うのではなく、分担するのがこの国では普通のことだからです」

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが昨年、女性の地位について144カ国を分析した「男女格差報告」でも差は歴然としている。

 ノルウェー 3位
 日本    111位

 分野別に見ても日本は「経済活動への参加と機会」が118位、「政治への参加」が103位で、安倍政権が目指す「女性の活躍」には程遠い。ノルウェーのような“先進国”とはそもそも文化が違うのだろうか。

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 「そんなことはありません。私の母もその友人も職業を持たないのが当たり前で、話すことといったら、子どもとカーテンのことばかりでした」

 元保健・ケアサービス副大臣で精神科医のハイバルグさん(80)は当時を振り返る。医学生のころ女性は100人中14人だけだった。母親が外で働くと子どもに悪影響を及ぼす。そうした考え方がまだ社会を覆っていた時代。強い意志で社会に出たものの「娘2人を産んでからは『私も主婦になるべき?』と、夫に何度尋ねたことか」。

 「男は仕事、女は家庭」だったこの国が、国連の女性差別撤廃条約を批准し、誰もが活躍できる社会へ踏み出したのは1981年。日本は85年で大差ない。

 しかしノルウェーでは、既に70年代から各政党が「クオータ制」を導入し始めていた。党のルールで選挙候補者などの一定割合を女性にし、政治参加を後押しする仕組みだ。

 選挙は比例代表制で、有権者は候補者個人ではなく、支持する政党を選ぶ。票数に応じてその政党の当選者数が決まり、当選者は党の候補者名簿の上位から順に選ばれる。名簿の順位を男女交互にするなど女性議員を増やす工夫も重ねた=図。

 初の女性首相が86年に組閣した2次内閣では19のポストのうち9人を女性が占め、この頃から日本との差が拡大。2年後には法律で、公的審議会などは男女どちらも全体数の40%を下回ってはならないと定めた。育児休業を取る男性議員も現れ、80年代に取得したストルテンベルグ議員は、後に首相も務めている。女性活躍の場は、政治から社会へ広がっていった。

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 日本で女性が初めて参政権を行使し、39人の衆院議員が誕生したのは71年前。そして現在、44人。政府は2020年に衆参両院選の女性候補の割合を30%とする努力目標を掲げるが、日本ではまだ議員の育休すら想定されてはいない。議員が育児や病気などで休む場合、代理議員が業務を引き継ぐノルウェーとは比べようもない。

 女性差別撤廃へ同じ頃に乗り出した二つの国は、政治のリーダーシップにより、30年余りで大きな差がついてしまった。

 「政治が態度を決め、法律や制度を変えれば、国民も変わっていくのです」。ニーバックさんの言葉は重い。


=2017/01/06付 西日本新聞朝刊=

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