パリッ、サクッ、トロリ 佐賀・西与賀の有明のり

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 「ちょっと手で割ってみらんですか」。佐賀市西与賀町のノリ漁師、東島吉孝さん(67)に勧められ、板のりをパリッ。鼻を近づけると上質な磯の香りが。口に入れるとサクッと切れ、トロリと溶けていく。

 「パリッ、サクッ、トロリ。これが良かのりの条件ですね」

 国内の生産地の中で最高の評価を受ける有明のり。その秘密は海域の6メートルもの干満差だ。養殖網が海水に浸るとノリは成長。逆に海水から浮かび上がった時は成長は抑制されるものの、うま味が蓄積される。だから毎日、漁場に通い、潮位や気圧の状態を判断して網を調整する。それがノリ漁師の腕なのだという。

 20歳でノリ漁師になった吉孝さんが、自ら栽培したノリの加工、販売を始めたのは11年前。一緒に海に出ていた妻典子(のりこ)さん(67)が陸に上がることになったのを機に、「有明の風」というブランドで直売を始めた=写真。

 それまで収穫物はすべて漁協経由で出荷していたから、いくら技術にこだわっても行き先が分かるのは問屋まで。消費者の顔は見えなかった。今は違う。

 「こんなのり、食べたことない」「感動した」-。「年々、仕事はきつくなるばってん、お客さんにそう言わすっために、養殖しよっとですよ」

 取材の翌日、わが兄弟が集まり手巻きずしを楽しんだ。食卓には「有明の風」。低迷気味だった私の株が、この日ばかりはぐっと上がった。

 ▼有明の風 すべて初摘みノリを使用。プレミアム焼きのり(板のり、10枚、税別)が1300円、焼きのり(同)は850円、石垣の塩使用の塩のりボトル大(8切、80枚)が1050円。ギフトにも対応。佐賀市西与賀町相応津115。有明の風=0952(23)8779(日・祝日休み)。

=2019/01/12付 西日本新聞夕刊=

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