すしは粋につまんで

カウンターに出されたすしは、おいしいうちにいただこう(協力・高鮨=福岡市)
カウンターに出されたすしは、おいしいうちにいただこう(協力・高鮨=福岡市)
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しょうゆはネタに少しだけ付ける
しょうゆはネタに少しだけ付ける
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屋台で売られていた江戸時代のすし
屋台で売られていた江戸時代のすし
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 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は「和食」の作法や文化について、マナーなどの教養を身に付ける「フィニッシングスクール インフィニ」(福岡市)の副校長で、和食検定実務1級認定者の三浦由加里さん(44)にお助けいただきます。

 日本人が大好きなすし。最近では海外の方も上手に「SUSHI」を食べている光景をよく見かけます。ヨーロッパでも食事の前にちょっとすしをつまんで、というのがはやっています。アボカドやサーモンを巻いた「カリフォルニアロール」などが人気だそうで、何だか粋ですね。

 すしの原点は1300年も前に誕生した「なれずし」(魚を発酵させたもの)とされ、握ってすぐ食べる「握りずし」は江戸時代に登場しました。当時は屋台がほとんどで持ち帰りもでき、さながら江戸のファストフードのような存在だったようです。

 さて、「江戸前」ならぬ「博多前」という言葉があるのを知っていますか。二つはどんな違いがあるでしょうか。江戸前はすしネタをしょうゆ漬けや酢じめ、昆布じめなどにし、甘味が少ないシャリで握ったすしです。一方、玄界灘の新鮮な魚が手に入る博多では、素材そのものの味を生かす握りが中心です。刺し身や焼き物、揚げ物など、すし以外の料理もいろいろと提供されます。それを博多前と呼ぶそうです。

 私も関東からの訪問客には、玄界灘でとれた新鮮な魚を召し上がっていただきたいので、よく博多前の店に案内します。いろいろな魚料理を堪能できる点で喜ばれます。

 ところでカウンターですしをいただくと緊張したり気後れしたりするという方も多いのではないでしょうか。注文の順番や作法に迷うこともありますよね。

 「箸と手、どちらで食べるのがいいですか?」という質問をよく受けますが、手でつまむと、職人さんの握り具合やネタとシャリのバランスなどを繊細に感じ取ることができるような気がします。箸を使っても間違いではありませんが、せっかくならつまんで、シャリではなくネタにしょうゆを少し付けて食べるのをお勧めします。

 注文する順番は特に決まりはありません。お好みでどうぞ。苦手な食材があれば事前に伝えましょう。反対に好きなものを1、2貫追加するのはいいのですが、そればかり食べるというのは失礼にあたります。

 すし店で使われる「アガリ(お茶)」や「おあいそ(会計)」など符丁と呼ばれる業界用語は、客は使わない方がスマートです。

 いずれにしても、魚や酒のことを知ったかぶりをして話すのは、はたから見ていても格好悪いものです。おしゃべりに夢中で、せっかくのすしがカウンターに並んだままというのも避けたいものです。

 握りたてをおいしいうちにいただく。すし屋の大将と上手にコミュニケーションするためにも、忘れないでほしいマナーです。


※この記事は2016/11/16付の西日本新聞朝刊(生活面)に掲載されました。

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