【きょうのテーマ】あかり絵の工房に行く 心和むミニ人形 昭和の子ども再現

制作中のあかり絵は生き生きとしていた
制作中のあかり絵は生き生きとしていた
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糸のこで板を切ってみた
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入江さんの作品
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あかり絵にこめた思いを話す入江さん
あかり絵にこめた思いを話す入江さん
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 なつかしい昭和の時代の子どもたちを人形で再現し、明かりで照らす作品「あかり絵」を知っていますか? 見ると、心が和んで笑顔になれます。その魅力を探ろうと、こども記者4人が作者の造形作家、入江千春さん(44)の工房=福岡県鞍手町=を訪ねました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=あかり絵の工房に行く

 入江さんの工房は、植物の緑や花におおわれていて、気持ちが良かった。

 中に入ると、木材を切ったり、穴を開けたりする機械があった。電動の糸のこ、丸のこ、ドリル…。切り口をなめらかに削る機械は、ベルトコンベヤーを縦にしたようなものだった。

 ◇ ◇

 あかり絵は、入江さんのオリジナルだ。どうやって作るかを教えてもらった。

 人形の材料には、オーブンで焼くと固まるオーブン陶土を使う。「土の質感で温かみを出すことができ、へらで細かい表情もつけられるから」だという。焼き上がった人形に色を付け、顔や服などを描く。入江さんが言うには、どれもイケメンや美人になりすぎないように、ちょっと不細工でかわいくしているそうだ。

 人形の背景になる家なども手作りだ。材料の木や紙などはホームセンターで買うことが多いが、裏山に落ちている木を使うこともあるそうだ。工房で制作中の民家は、両手で抱えて持てるくらいの大きさだった。畳の和室があって、庭や電信柱、石垣も精巧に作られていた。入江さんは「みんなが同じ気持ちで見られて、楽しめるものにしています」と話した。

 ◇ ◇

 私たちも入江さんの指導を受けながら、あかり絵で使うちゃぶ台を作らせてもらった。板を糸のこで丸く切った後、4本の脚にするために細い角材をのこぎりで切った。真っすぐに切るだけでも難しかったので、すべてを1人で作る入江さんのすごさが分かった。

 入江さんは、あかり絵のことを「明かりをつけると物語が始まり、明かりを消すと物語が終わる小さな舞台」と言った。「小さな舞台」というのが、あかり絵にとてもあっていて、すてきだなあと思った。

 ●作者の入江さんに聞く 題名は方言で 人情や古里感じて

 こども記者たちは、入江さんにインタビューもした。あかり絵は、いつから、どのように、どんな思いで作っているのだろう。

 入江さんは学生のころ、デザインを勉強したという。「いろんな世代の人たちが楽しめるものを作りたい」と思って、回り灯ろうも作った。回り灯ろうは中心に明かりがあって、周りをきれいな絵柄が回ることで幻想的なムードを楽しめる。それと並行して、あかり絵を作り始めて15年目になるという。

 これまでに作った作品は約300個。一つずつ作るのではなく、10個くらいまとめて、2~3カ月かけて作ることが多いそうだ。いったん作品をこわして作り直すこともあるという。

 作品には方言で題名を付けている。魚をつった子どもたちの作品は「とったばい!」、かみなりをこわがる子どもたちは「わーっ、へそとらるる~」など。入江さんは「方言が入ると、人情や古里の感じが出るから」と説明してくれた。

 そして「大人も子どもも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、あかり絵を見て笑顔になってくれたらいいなあ、と思って作っています」と話してくれた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼あかり絵の作品紹介 入江千春さんの作品を紹介する「あかり絵の世界」のホームページは=http://akari-e.com/。あかり絵は非売品だが、絵はがきとしても使える2018年版のあかり絵のカレンダーを予約受付中。スタンド付きで1個1800円。申しこみはホームページから。

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=2017/06/14付 西日本新聞朝刊=

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