【きょうのテーマ】博多織で花嫁ドレス 福岡市の服飾店 伝統を現代風に、次の世代へつなぐ

お店に飾られているウエディングドレス。生地が光をとらえてきれいだった
お店に飾られているウエディングドレス。生地が光をとらえてきれいだった
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コサージュ作りを体験した
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完成したコサージュ。4人それぞれ違う雰囲気になった
完成したコサージュ。4人それぞれ違う雰囲気になった
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自分がデザインした博多織の生地を広げる山下雅さん
自分がデザインした博多織の生地を広げる山下雅さん
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デザインの原画を見せてもらった
デザインの原画を見せてもらった
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 博多の伝統工芸「博多織」を使って、ウエディングドレスを作っているお店が福岡市中央区地行にある。「モード美輪」というお店だ。訪ねると、伝統を受けつぎ、ものを大切にしたいという作り手さんに会うことができた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=博多織で花嫁ドレス

 お店のショーウインドーにはウエディングドレスが飾られていた。中に入ると、また違った感じの白いドレス…。「どれも博多織で作ってます」と店長の山下雅さん(58)が迎えてくれた。夫で社長の籌皓(かずひろ)さん(58)と一緒に店を営み、ドレスは籌皓さんがデザインしているそうだ。

 絹織物である博多織は細い縦糸と太い横糸で織られるため、独特のでこぼこができ、それが柄になる。雅さんは「光が当たる部分が輝き、影の部分はいろんな色に見える」とドレス生地としての魅力を語る。

 とはいえ、博多織と聞くと帯のイメージだ。どうしてドレスにしようと考えたのだろう。

 きっかけは18年前。博多織のドレスを作りたいという依頼が、高級仕立服の洋裁師でもあった籌皓さんのもとにきた。でも博多織は頑丈で分厚く「10センチ縫うごとに針が折れた」と雅さん。織元がドレスに加工しやすいよう薄くて軽い博多織を開発し、ようやく完成したそうだ。

 「絹は100年もつ、と言われています。ドレスが親から子へ孫へと受けつがれるとうれしい」と、山下さん夫妻は伝統の博多織を使ったドレスを今の時代、そして未来に向けて作っていこうと決めた。1着20万円から受け付けていて、海外からも注文があるという。

 ドレスに合うコサージュ(花飾り)なども雅さんが手作りしている。私たちも博多織を使ったコサージュ作りを体験させてもらった。布を花の形に切り、「コテ」という細いアイロンのような道具をあてる。「やけどしないように」と雅さんに言われ緊張した。意外と力もいる。熱した布がくるりと曲がり立体的な花びらの形になった。それから花にめしべや茎に見立てた部品をつけ完成。同じ材料から作ったのに「みんなそれぞれ違う花になったね」と雅さんが笑った。

 取材を通して、時間をかけて作られるものは作る人の愛がつまっていると感じた。

(川路菜月記者、箱島花帆記者)

 ●山下雅さん 夢は「レースのような布」

 山下雅さんはウエディングドレスに合うよう、博多織のデザインもしている。雅さんのように織物や布をデザインする人を「テキスタイルデザイナー」という。

 雅さんの場合、まず紙に鉛筆で図案を描く。自然が好きで、草花をモチーフにすることが多い。色鉛筆や絵の具で色を付け、色合いなども考える。ウエディングドレス用の白い生地の場合、白い縦糸にピンク色や黄色などの横糸を通せば、白は白でもクリーム色に近い白にも、雪のような白にもなる。雅さんは「絵の具をまぜて色を作るみたい」という。雅さんが手がけた織物は白でも7種類あり、ドレスを注文した花嫁の肌や目の色にあった白を提案している。

 考えたデザインは、福岡市の博多織元「サヌイ織物」が織り、形にする。1枚の新しい織物が完成するまで1年かかるという。

 雅さんがテキスタイルデザインを始めたのは48歳の時。「子どものころから絵を描くことが好きだったからね」といい「やりたいことを始めるのに年齢なんて関係ない。おそすぎるなんてないのよ」と笑った。夢は「博多織でレースのように美しい生地を作ること」だそうだ。

(上鶴志織記者、安河内真希記者)

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=2017/09/13付 西日本新聞朝刊=

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