【きょうのテーマ】九州大学のゲーム開発 課題解決に役立ちたい 介護予防、施設とも協力

松隈准教授(右端)にシリアスゲーム「バラミンゴ」について説明してもらった
松隈准教授(右端)にシリアスゲーム「バラミンゴ」について説明してもらった
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学生が試作したという、腕輪のような機器をつけて的をうつゲームも体験した
学生が試作したという、腕輪のような機器をつけて的をうつゲームも体験した
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開発したゲームについて説明する松隈さん
開発したゲームについて説明する松隈さん
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 子どもにも身近なアニメやゲームなどを研究し、生み出している研究室が九州大学にある。どんな研究者がいるのだろう。福岡市南区の大橋キャンパスをのぞいてみた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州大学のゲーム開発

 大橋キャンパスにある芸術工学部では、さまざまなデザインに関わる研究をしている。その一角にある松隈浩之准教授(47)の研究室に入ると、たくさんのコンピューターや機械が目に入ってきた。迎えてくれた松隈さんと大学生7、8人が「ここではアニメやゲームなどデジタル技術を使った“デジタルコンテンツ”全般を研究しています」と紹介した。

 特に松隈さんが力を入れているのが「シリアスゲーム」。教育や介護など社会的な課題の解決に役立てるゲームのことだ。私たちは松隈さんが開発した「バラミンゴ」というゲームを体験した。

 このゲームは、立ったり歩いたりする力が弱ったお年寄りの介護予防が目的。体の動きを感知するセンサーの前で片足立ちをして、画面の中のポイントを取っていくというゲームだ。バランスよく立っていると高得点、ふらふらしてしまうとポイントを取りのがしてしまう。

 やってみると、画面上の文字が見やすいなど、お年寄りでも取り組みやすい工夫がされているのが分かった。終盤は足が疲れてふらついてしまった。毎日続ければ足の力を鍛えることができそうだ。松隈さんも「毎日、単に片足立ちの運動を続けようとしても飽きてしまう人もいるでしょ。ゲームだと楽しく続けられるかなと思います」という。

 松隈さんは福岡市や医療介護施設と協力し、こうしたゲームをほかにも1作品開発。実際に施設などで役立てられている。

 一方、学生たちはシリアスゲーム以外も研究しているそうだ。仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)機器やアニメを描く機材のほか、身近なスマートフォンを使ってデジタルコンテンツを作っていて、好きなことに夢中で取り組んでいる印象だった。松隈さんは「大学にはさまざまな機材がそろっていて、学生はこれらを有効に使って研究できる」と話す。

 ゲームを作るにはまず企画からスタート。コンピューターなどを使って絵や音、キャラクターなどの動きを設計し、コントローラーとの連動などをプログラミングする。こうして試作と検証を繰り返し、完成まで1年ほどかけるそうだ。

 ここで研究した学生たちは卒業後、ゲームやアニメの制作会社に就職したり、自分で会社をおこしたりもするそうだ。学生のみなさんは「今までにないものを生み出したい」と話していた。

 ●「好きな気持ちを大事にして」 気さくな先生 松隈浩之准教授

 大学の先生や研究者ってちょっと堅いイメージがあったが、松隈浩之准教授(47)はとても気さくな先生だった。

 小学生のころは漫画が好きで、まねてイラストを描いていたそうだ。家庭用テレビゲーム機が世の中に出たのは、中学生になってから。長時間ゲームに没頭することはなかったが、ゲームそのものにとどまらず、登場するキャラクターのデザインにも魅力を感じていたそうだ。

 高校卒業後、九州芸術工科大=現・九大芸術工学部=に入学。大学院生になったころからコンピューターグラフィックス(CG)が盛んになった。好きな映画に使われたこともあり、デジタルの世界に興味を持つようになった。

 大学を出て、東京の会社で6年間、CGや3D(3次元)グラフィックスの仕事も経験し、ふるさとの大学に戻った。子どものころからの絵やデザイン好きを根っこに、今も研究活動を続ける松隈さんは「好きだと上手になる。みんなも好きな気持ちを大事にして、好きなことを続けてほしい」とメッセージをくれた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼九州大芸術工学部 科学技術と芸術の融合を目指す芸術工学を本格的に研究・教育する、日本初の国立単科大学「九州芸術工科大」が前身。2003年に九州大と統合した。都市や生活環境、製品、情報伝達、音環境などの設計を学ぶ。環境設計、工業設計、画像設計、音響設計、芸術情報設計の5学科がある。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州大学のゲーム開発

=2018/02/21付 西日本新聞朝刊=

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