【きょうのテーマ】九州国立博物館 その裏側を巡る 文化財守るさまざまな工夫

九博の屋根は波の形で、ガラスの壁には周囲の森が映っていた
九博の屋根は波の形で、ガラスの壁には周囲の森が映っていた
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収蔵庫の中には入れないので、ガラス窓越しに見学した
収蔵庫の中には入れないので、ガラス窓越しに見学した
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見学コースに展示されていた収蔵庫の模型
見学コースに展示されていた収蔵庫の模型
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仏像などの内部を調べるCTスキャナーの画像もあった
仏像などの内部を調べるCTスキャナーの画像もあった
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地震の揺れを和らげ、九博を守る免震構造
地震の揺れを和らげ、九博を守る免震構造
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「あじっぱ」では東南アジアの楽器で遊ぶこともできる
「あじっぱ」では東南アジアの楽器で遊ぶこともできる
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 ●修復する役割も

 博物館といえば、貴重な展示品を見せてくれる所と思っている人が多いだろう。それだけではなく、文化財を守り、調査し、修復する役割もある。こども記者5人が福岡県太宰府市の九州国立博物館(略して「九博」)を訪ね、交流課主任研究員の八尋智之さん(40)に舞台裏の見学コースを案内してもらった。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州国立博物館 その裏側を巡る

 八尋さんは1階ホールの奥にある職員用のドアを開け、こども記者を招き入れてくれた。まず向かったのは文化財を保存する収蔵庫。研究者などしか入れないので通路にあるガラス窓から中を見ると、木製の棚が並んでいた。直接外部と接触しないように部屋全体が空気の層で囲まれた二重構造になっていて、温度も湿度も一定に保たれている。

 「火事になったとき、消火に水を使うと文化財がぬれてしまいます。水を使わないで火を消す方法は?」。八尋さんが問題を出し、こども記者たちは首をかしげた。答えは「火が燃えるのに必要な酸素を減らす」だった。窒素ガスを使って酸素濃度を下げ、火を消すようになっているという。

 ■3Dプリンター活用

 見学コースの通路には、仏像などの内部をエックス線CTスキャナーで撮影した画像が展示されていて、最新の技術が使われていることが分かった。硬い床に文化財を落としたら壊れかねないので、「あまりダメージを受けないように、畳がしかれている部屋もあった」(守真永衡記者)。

 古い文書を修復する部屋も、通路からガラス窓越しに見ると、作業に使う和紙が干されていた。虫に食われるなどして穴が開いた所には同じ形で同じ色の紙を貼る。修復用ののりは10年もかけて作るそうだ。

 3D(3次元)プリンターを使って文化財の模型を作る部屋もあった。複雑な模様の火〓(〓は「焔」の「旧」の部分が「臼」)(かえん)土器の模型をさわった西果凛記者は「昔の人は手先が器用だった」と感じた。

 ■地震から守る装置も

 収蔵庫などの床の下にある免震構造も見学した。地震が起きたとき、建物の被害を防ぐだけでなく、文化財が倒れて壊れないように揺れを和らげる装置だ。

 装置はゴムや鋼板などで作られた3種類があり、計232個が設置されている。芝葉和記者がゴムにさわると「車のタイヤみたいに硬いものとソファみたいに軟らかいもの」があった。

 建物の外に出て九博の全体を見ると、屋根は青く波のような形で、壁面のガラスには周囲の森が映っていた。八尋さんは「自然に溶け込むようにデザインされています」と話した。

 ●「あじっぱ」 アジアの文化体験しよう

 九博の1階には、体験型展示室「あじっぱ」がある。名前には「アジアの原っぱ」という意味があり、日本と交流があったアジアやヨーロッパの国々の文化を無料で体験できる。

 中川路美南記者は、インドネシアの竹製の楽器を演奏したり、民族衣装を着たりして「ふだんできない経験ができ、楽しい」と笑顔を見せた。お面やおもちゃ、絵本もあり、ボランティアが入館者に使い方などを教えてくれる。

 交流課主任研究員の八尋智之さん(40)は「デパートや図書館に行くように、博物館を身近に感じてほしい」と言った。吉武愛実記者は「九博は見たり、さわったりすることができるので、また来たいと思える」と満足していた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼九州国立博物館 2005年10月、福岡県太宰府市の太宰府天満宮近くにオープンした。東京、京都、奈良に次ぐ四つ目の国立博物館。国内外の貴重な文化財などを集めた特別展のほか、アジアとの交流を紹介する常設展も。裏側を見学するバックヤードツアーは日曜午後2時から約50分、ボランティアが案内する。先着順に受け付け、無料。問い合わせは九博交流課=092(929)3289。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州国立博物館 その裏側を巡る

=2018/03/03付 西日本新聞朝刊=

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