【きょうのテーマ】空を駆け命をつなぐ 事故やへき地医療に力 久留米大病院のドクターヘリ

病院屋上のヘリポートに駐機するドクターヘリ
病院屋上のヘリポートに駐機するドクターヘリ
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飛行中の機内ではマイク付きヘッドフォンを使って会話する
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ヘリ内部にはさまざまな医療機器が備えられていた
ヘリ内部にはさまざまな医療機器が備えられていた
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後方から見ても、全長13メートルの機体は迫力がある
後方から見ても、全長13メートルの機体は迫力がある
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ヘリに乗る医師の平湯さん(中央左)と看護師の川端さん(同右)の話を聞いた
ヘリに乗る医師の平湯さん(中央左)と看護師の川端さん(同右)の話を聞いた
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 ●医師、看護師ら乗せ急行 50キロ圏内 30分で往復

 救命救急専門の医師と看護師を乗せて、空から患者の元に急行するヘリコプター「ドクターヘリ」は、交通事故への対応やへき地医療などに力を発揮しています。久留米大病院高度救命救急センター(福岡県久留米市)を基地病院とするドクターヘリをこども記者7人が取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=空を駆け命をつなぐ

 ■3、4分で出動

 高度救命救急センターに勤務する医師、平湯恒久さん(35)が出迎えてくれた。ヘリが駐機するヘリポートと「司令塔」である運航センターは、15階建ての同病院本館の屋上にあった。ヘリの出動が決まると、一番近いエレベーターは運航センター直通になり、搭乗用の医療スーツ姿でヘリポートへ急ぐ。「出動要請から3、4分で飛び立てるように常に準備している」という平湯さんの言葉に一分一秒を争う救命医療の緊張感がにじんだ。

 ドクターヘリは全国で52機、九州では離島が多い鹿児島県に2機、その他の県には1機ずつ配備されている。同病院のヘリは福岡県と相互支援する佐賀県内のほか、日田市など大分県の一部を担当し、赤ちゃんから高齢者まで幅広い患者の命を救ってきた。昨年度は305回出動したという。

 ■機器がびっしり

 ヘリポートで機体を間近に見た。白いボディーが日光に輝き、ひときわかっこよく見えた。整備士の上野和隆さん(49)が機体の説明をしてくれた。時速約220キロで飛行し、50キロ圏内を30分で往復できる性能を持つそうだ。上野さんは「万が一にも故障があってはならない。力を入れて整備している」と話した。

 後部ドアを開けてもらい機内をのぞいた。人工呼吸器、酸素ボンベ、超音波診断装置、吸引器、除細動器、折りたたみ式のストレッチャーなどが、まるでパズルのようにびっしりと機能的に配置されていた。

 特別に機内に入れてもらい看護師の座席に着くと、ヘッドホンがあった。看護師の川端潤さん(39)が「飛行中はものすごく大きな音がするのでマイク付きヘッドホンを使って会話する」と教えてくれた。

 ■命の重さずしり

 救命の現場で何を大事にしているのかと聞くと、平湯さんは「本当にこの処置だけでいいのかと考え、予想される最悪の事態に備えるようにしている」、川端さんは「現地の救急や消防隊員さんの協力があって処置ができる。感謝の気持ちを忘れない」と答えた。

 ヘリに載せる救命セットが詰まったバッグを川端さんが持たせてくれた。ずしりとした手応えに患者の命の重さ、医師と看護師の責任の重さが伝わった。

 ヘリポートから見ると、筑後平野は広く、遠くに山や川がかすんでいた。「何かあれば山や川を飛び越えて、チームで空から駆けつけるよ」-。ドクターヘリの頼もしい声が聞こえたような気がした。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼久留米大病院ドクターヘリ 全長13メートル、全幅11メートル、全高3.85メートル。乗員数は7人で操縦士、整備士、医師、看護師、患者とその家族などを乗せることができる。2002年に同病院が事業主体となり、全国で5番目、九州では初めて配備された。市町村の消防本部の要請で出動する。同病院のヘリの場合、飛行エリア内に校庭や公園など約1000カ所の臨時離発着場を確保し、その中から消防本部が最適と判断した場所に着陸する。運航費用は国と福岡県が補助している。

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=2018/05/24付 西日本新聞朝刊=

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