九博でビュールレ展を見て考えた 「印象派」ってなんだ? 光の描写、明るい色彩

絵巻物の影響を感じさせるモネの「睡蓮の池、緑の反映]
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「友達になりたい」くらいイレーヌの存在を身近に感じた
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美術史に名を残す作品に囲まれて取材をした
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臺信さんの解説でセザンヌの展示を見る
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 スイスの実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890~1956)が集めた西洋絵画の名品を紹介する特別展「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が福岡県太宰府市の九州国立博物館で開かれ、話題を呼んでいます。こども記者5人が展示を見て、絵画の歴史や表現の奥深さを探りました。

【紙面PDF】九博でビュールレ展を見て考えた

 特任研究員、臺信祐爾さん(63)が案内してくれた。会場に入ると、絵の中の人物が一斉にこちらを見たような気がするくらい、生き生きとした表情で描かれた作品が並ぶ。作者はルノワールやドガなど「印象派」と呼ばれる画家たちだ。

 印象派の名は、1874年にフランスのパリであった若手画家らの展覧会で展示されたモネの「印象、日の出」(今回の会場に展示なし)から付けられた。

 臺信さんは「当時は絵全体にピントが合っていて筆跡を残さない作品が伝統的で優れた絵画と評価されていた」と話し、モネの「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」を指し示した。霞がかかったようなふわっとした画面で、伝統とかけ離れた表現が際立っていた。展覧会は8回あり、そこに集った画家が印象派と呼ばれるようになった。

 ■アトリエから外へ

 臺信さんは印象派の特徴として「野外制作による光の描写や明るい色彩、筆跡を生かした表現」などを挙げた。画家がアトリエから出て、野外でスケッチから仕上げまでできるようになったのは、19世紀半ばのチューブ入り絵の具の実用化や鉄道の発達で、移動が容易になったからだ。

 印象派の特徴を示す作品の一つがルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」だ。臺信さんは絵を前に「この女性は何歳に見えますか」と聞いた。全員が10歳以上と答えたが、正解は8歳と聞き、大人びた雰囲気に驚いた。庭木の葉を背景に日差しの中で輝く姿は、目の前に座っているような存在感があり「友達になりたいな」と思った。

 実は絵を依頼したイレーヌの両親はこの作品に不満があったと聞き、印象派が受け入れられるには時間がかかったことを知った。

 ■日本文化の影響も

 会場の最後に飾られているのがモネの「睡蓮の池、緑の反映」だ。縦2メートル、横4メートル以上の大作で、流れるような緑と青で表現された水面を見ていると絵の中に吸い込まれそうだ。さまざまな植物の色彩と光の変化を詰め込んだ横長の大胆な構図には「日本の絵巻物の影響があるのでは」と臺信さんは推測する。

 19世紀半ばから、浮世絵が欧州に伝わり、モネ、マネ、ゴッホなど多くの印象派の画家たちが日本の絵に心を奪われていく。そして、印象派の作品は、やがて日本の画家たちに大きな影響を与える。私たちも今、会場で作品を見て大きな感動を味わっている。国境や時間を超えた美の力を身近に感じた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼至上の印象派展 ビュールレ・コレクション 16日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館。絵画や彫刻など64点を展示。アングルやピカソ、ブラックなど印象派前後の画家の作品も充実している。入場料は一般1600円、高大生900円、小中生500円。NTTハローダイヤル=050(5542)8600。

【紙面PDF】九博でビュールレ展を見て考えた

=2018/07/03付 西日本新聞朝刊=

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