【きょうのテーマ】博多の祭りと職人技知ろう 博多町家ふるさと館(福岡市博多区)

博多祇園山笠の迫力あるVR映像を見た
博多祇園山笠の迫力あるVR映像を見た
写真を見る
山笠を支える舁き棒を持ち上げ、重さを実感した
山笠を支える舁き棒を持ち上げ、重さを実感した
写真を見る
博多織職人の盛さん(左)の指導で手織りを体験する木原記者
博多織職人の盛さん(左)の指導で手織りを体験する木原記者
写真を見る
博多織職人の盛さん(左)の指導で手織りを体験する木原記者
博多織職人の盛さん(左)の指導で手織りを体験する木原記者
写真を見る

 ●伝統は進化しながら受け継がれていく

 古くから海外との交易が盛んで、独自の商人文化を育んできた「博多」の歴史を紹介する施設、博多町家ふるさと館(福岡市博多区)では、地域の祭りや文化を体感できる展示で来場者を楽しませています。5人のこども記者が同館で博多祇園山笠や伝統工芸の職人を取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ 博多の祭りと職人技知ろう

 展示棟で松尾由美子学芸員は「来場者に体験を通じて祭りやもの作りなど博多の心意気に触れてほしい」と説明した。力を入れているのが、国の重要無形民俗文化財に指定されている祭り、博多祇園山笠の紹介だ。

 目玉の一つがバーチャルリアリティー(VR・仮想現実)映像で祭りのクライマックス「追い山」を体験するコーナーだ。山笠に乗って舁き手を鼓舞する「台上がり」の視点を8台のビデオカメラで撮影した映像と音で再現。液晶画面内蔵のゴーグルを付けて、首を回したり上下させたりすると、熱気あふれる情景を360度見渡せる。特に追い山を終えて歌う「祝いめでた」の迫力に感動した。

 山笠を支える舁き棒をかついで重さを実感する展示も体験し、15日の追い山をぜひ見たいと思った。

 ■これからも勉強だ

 2階では博多の伝統工芸を体験できる。この日は博多人形伝統工芸士会の益永栄喜会長が、粘土を使って来年の干支・イノシシの人形の原型を制作していた。テーマは「親子」で、体を寄せ合う2匹の姿が毛並みや表情まで指先とへらで見事に表現されていた。

 益永さんは「原型で人形の出来栄えが決まる。私は七隈(同市城南区)のいい土を使っている」と、こども記者に粘土を配った。粘土は最初しっとりしているが、すぐに硬くなる。原型作りには精密で素早い指の動きが大事だと感じた。

 館には博多人形の彩色を体験したいという外国人観光客も訪れる。言葉の問題を聞くと、益永さんは「スマートフォンの翻訳アプリを使って会話している。一人でも多くの人に博多人形の魅力を伝えたい」と力を込めた。現在76歳。「15歳で弟子入りして技や表現を磨き続けてきたが、この道に終わりはない。これからも勉強だよ」と笑った。

 ■自分らしさに挑戦

 展示棟の隣にある、明治時代の博多織織元の家を移築した町家棟では、博多織職人の盛かおるさんが手織りを実演していた。伝統技法の「打ち返し、三つ打ち」で織る「トーン、トントントン」という音の繰り返しが心地よかった。高さ3メートル以上ある複雑な構造の織機に向かい、数千から数万本の細い絹糸を操り、織物に仕上げる作業は非常に難しく見えた。作業を体験したが、盛さんのようにリズミカルに織るには、相当な熟練が必要だと分かった。

 盛さんにやりがいを聞くと「博多織は経糸だけで色と柄を表現しなければいけない頑固で融通が利かない織物」と話し、「厳しい約束事の中でどこまで自分らしい作品が作れるか挑戦するのが楽しい」と答えた。

 益永さんと盛さんの「学んだ技術を次の世代に伝えていくことも大きな仕事」という言葉に、伝統は進化しながら受け継がれていくものだと感じた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼博多町家ふるさと館 福岡市博多区冷泉町。博多文化発信のために同市が1995年に開館させた。明治中期に冷泉町に建てられた旧博多織織元「三浦邸」(木造2階建て)を移築した町家棟を挟み、展示棟、みやげ棟の3棟からなる。入場は展示棟のみ有料で、高校生以上200円。中学生以下は無料。休館日など問い合わせは同館=092(281)7761。

【紙面PDF】きょうのテーマ 博多の祭りと職人技知ろう

=2018/07/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]