【おしごと拝見】訪問看護師 ハートフルシマダ・訪問看護ステーション(福岡県小郡市)

患者の血圧を測る訪問看護師の原さん
患者の血圧を測る訪問看護師の原さん
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黒木さん(左はし)の脈に聴診器をあてて、血圧を測ってみた
黒木さん(左はし)の脈に聴診器をあてて、血圧を測ってみた
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黒木さんがバッグの中身を見せてくれた
黒木さんがバッグの中身を見せてくれた
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 ●「医師の目となり耳となり」、在宅医療を支える

 病院に行くと、私たちを優しく支えてくれる看護師さん。その活躍の場は病院にとどまらない。患者さんの家を訪ねて手当てをする「訪問看護師」が注目されている。福岡県小郡市にある「ハートフルシマダ・訪問看護ステーション」を訪ね、訪問看護師の仕事を取材した。

【紙面PDF】おしごと拝見=訪問看護師 ハートフルシマダ・訪問看護ステーション

 訪問看護師の黒木加奈子さん(38)が事務所でむかえてくれた。部屋の中には、薬やガーゼなどが並ぶ棚があった。

 訪問看護師とは、入院せずに自宅で体を休めるお年寄りや障害のある人の家を訪ね、手当てなどをする看護師のこと。患者のかかりつけの医師から指示を受け、自分で車や自転車を運転して患者を訪ねる。黒木さんは「忙しくて病院の外に出られないお医者さんに代わり、目や耳となって患者さんをみています」と話す。患者の様子を医師に伝えるなどチームになって患者を支えている。

 この訪問看護ステーションの利用者は、車で30分以内の地域に約100人。黒木さんら看護師7人が、1日に1人で5軒ほどを回る。体温や血圧測定、点滴のほか、入浴の手伝いなど生活のサポートまで、仕事は幅広い。患者の病状によっては早朝や深夜にも対応しないといけない。

 この日、私たちも仕事に同行させてもらった。訪ねたのは、おじいさんとおばあさんの2人暮らしの家。黒木さんといっしょに働く看護師の原寛江さん(47)が、おじいさんの血圧を測り「ご飯は食べましたか」「ねむれましたか」とゆっくり尋ねていた。

 おじいさんは「(年を取って)車を運転できんから、来てもらうと助かる。看護師さんとのおしゃべりも楽しい」と笑った。病院とはちがい、自分の家で看護師とゆっくり話す時間があるのも訪問看護の良いところだそうだ。そんなおじいさんの話をうなずきながら聞く原さんや黒木さんの優しい表情が印象的だった。

 「人と関わることが好きで、だれかの役に立ちたくて看護師になった」と黒木さん。病気になっても住みなれた家で家族と暮らしたい、あるいは最期をむかえたいという人を支える仕事は、大変だけどやりがいも大きい。例えば、認知症の人が亡くなる前の15分間だけ記憶がもどるなど「自宅ならではの“ミラクル”に出合うこともある」と笑顔で話した。

 ●バッグはまるで「ドラえもんのポケット」

 「ドラえもんのポケットのよう」と黒木加奈子さんが言う、訪問看護師のバッグには何が入っているのだろう。見せてもらった=写真。

 黒木さんが持っていたのは1泊旅行の荷物が入るぐらいの大きさのバッグ。血圧計、聴診器、体温計のほか、指先の血流から血液中の酸素濃度を測る機器、ばんそうこうやテープ、アルコールなどがまとまって入っていた。患者の様子を書く用紙もあった。病院内とはちがい医療機器がそろっていない患者の家で手当てをする訪問看護師にとって、大事なバッグだ。

 私たちも道具を触らせてもらった。聴診器を胸やおなかに当てると「スー、スー」と息をする音が聞こえた。黒木さんは「胸やおなかに雑音がないかを確認しています」。血圧計も持ち運びが便利な聴診器で測るタイプのものを使う。黒木さんの血圧を測ってみた。腕にベルトをまいて中に空気を入れ、圧迫する。目もりを見ながら脈に聴診器をあてたら、「トクトクトク」と音がした。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼訪問看護師 日本看護協会によると、訪問看護師として働く看護師はベテランから新人までさまざま。訪問看護ステーションで働く看護師は全国に約3万3000人(2015年現在、厚生労働省調べ)。厚労省は在宅医療をすすめており、訪問看護師の役割は大きくなっている。訪問看護ステーションの数は2011年からの5年間で、全国平均で1.5倍にふえている。

【紙面PDF】おしごと拝見=訪問看護師 ハートフルシマダ・訪問看護ステーション

=2018/07/17付 西日本新聞朝刊=

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