【おしごと拝見】サックス奏者 清水 賢二さん(51)

演奏する清水さん
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清水さんの生徒の発表会のリハーサルを見学した
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 ●自分が楽しまないと、人を楽しませることはできない」 「挫折しても、またチャンスはやってくる」

 スポットライトをあびながら音を奏で、きく人を楽しませるプロのミュージシャン。音楽を仕事にするのは「夢の世界」「狭き門」、それとも「大変」? 福岡市を拠点に活動するプロのサックス奏者、清水賢二さん(51)を訪ね、仕事や音楽への思いを聞いた。

【紙面PDF】おしごと拝見=サックス奏者 清水 賢二さん(51)

 訪ねたのは、福岡市中央区のライブハウス。ステージには清水さんのほか、ドラム、ピアノ、ベースの奏者や歌を歌うボーカルの人がならんでいた。

 演奏されていたのは「ジャズ」とよばれる音楽で、軽快な曲もあれば、しっとりとした曲もあり、音色に心ひかれた。スポットライトが当たったサックスはきらきらと輝き、その音はとてもどっしりとしていて、でもなめらかだった。清水さんは「ここ、もう1回やってみようか」「もう少しゆっくり」と、ほかの奏者に指示していた。

 清水さんは福岡を中心にコンサートホールやレストラン、結婚式場などさまざまな場所で演奏している。出演依頼があれば、東京や大阪など全国の都市へも演奏に行く。「僕は自営業。自由に仕事ができる一方で、毎月会社から決まった給料をもらえるサラリーマンじゃないってこと」

 そんな清水さんのもう一つの仕事は、自宅で開く音楽教室の先生だ。実は、この日は清水さんの生徒たちの発表会。生徒は20~70代までいて、私たちが見学させてもらったのはリハーサルの様子だった。清水さんもバックバンドとして演奏していて「生徒さんの上達も仕事の喜びの一つ」と話した。

 一方で自分の演奏をきいたお客さんの「感動した」という言葉も大きな喜びだ。では、お客さんを楽しませるために、どんな工夫をしているのだろう。清水さんは「自分が楽しまないと、人を楽しませることはできない。だから自分が楽しむことが最優先かな」と笑った。

 ◇ ◇

 山口県で生まれ育った清水さんとサックスの出合いは、中学2年のころ。日本を代表するジャズサックス奏者の演奏をテレビで見て、その魅力にひかれたそうだ。それまでは音楽に縁はなく、サックスも持っていなかったから「はじめはリコーダーでジャズを演奏してみたりしていた」と笑う。中学の音楽の先生が中古のサックスを探してくれ、独学で練習を始めた。

 それから東京の音楽専門学校を卒業。5、6年は東京で音楽活動をしていたけれど「挫折してしまって」(清水さん)、ふる里に帰り、お父さんの会社を手伝っていた。でも友達にさそわれてまた演奏を始め、福岡市に拠点を移して今にいたるそうだ。「僕みたいに挫折しても、生きていれば人生またチャンスはやってくる」という清水さんの言葉が心にひびいた。

 ●「楽器は自分の一部」 清水さん

 取材した私たちの中にも、音楽を習っているこども特派員がいる。でも私たちとはちがって、プロの清水さんにとってサックスはどんな存在なのだろう。

 「自分の一部。そうじゃないと、いい音楽は生まれない」。清水さんは言葉を選びながら答えてくれた。そして「しゃべるみたいに演奏している」と教えてくれた。

 サックスには大きく分けて、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類があるといい、清水さんが主に演奏するのはテナーサックス。私たちは清水さんのサックスを触らせてもらった。重さは3.5キロほどだそうで、持ってみると重かった=写真。キーとよばれるボタンのようなものがたくさんついていて、なんだかかっこよかった。

 サックスは1800年代半ばに、ベルギー生まれのアドルフ・サックスという人が考案した比較的新しい楽器だそうだ。その音色を清水さんは「人間の声に近い」と表現した。

【紙面PDF】おしごと拝見=サックス奏者 清水 賢二さん(51)

=2018/08/16付 西日本新聞朝刊=

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