「虫の目図鑑」連載 昆虫写真家・栗林慧さんを取材した 目を輝かせて「虫は友だち」

栗林慧さん
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地面に腰を下ろし、細長いレンズを付けたカメラでバッタを撮影する栗林さん
地面に腰を下ろし、細長いレンズを付けたカメラでバッタを撮影する栗林さん
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栗林さんは、自分が撮影した昆虫の写真集を見せて説明してくれた
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カメラを加工する工作用の机。下の箱には分解したレンズがたくさん入っていた
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【栗林さんの作品】ミイデラゴミムシが毒ガスを発射した瞬間
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【栗林さんの作品】口元がはっきり写ったサムライアリ
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【栗林さんの作品】元気に飛んでいるゴマダラカミキリ
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【栗林さんの作品】キリギリスの顔。アップで見ると大迫力だ
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 もの知りこどもタイムズ面で「虫の目図鑑」を連載している昆虫写真家、栗林慧さん(79)は、どんな人なんだろう。ぜひ会ってみたい、というこども記者5人が、夏休みに長崎県平戸市の栗林さんの事務所を訪ね、取材しました。

【紙面PDF】「虫の目図鑑」連載 昆虫写真家・栗林慧さんを取材した

 ■中古レンズは宝の山

 栗林さんの事務所は緑に囲まれ、海も見えた。室内にはバッタやチョウなどの写真が飾られていた。「よく来たね」と笑顔で迎えてくれた栗林さんは、おだやかで話しやすい人だった。

 平戸市(当時は田平町)で過ごした子どものころから昆虫が好きで、工作も好きだった。東京にいた21歳の時にカメラを買い、昆虫を写し始めた。そして、豊かな自然がある古里へ約40年前に戻ったそうだ。

 作業場には、虫の飼育箱や、たくさんのカメラ、三脚などがあった。工作用の机の下に置かれた箱には、中古のカメラ店で買い集めたレンズがいっぱい入っていた。栗林さんは「宝の山だよ」と笑った。自分で分解して、工夫を重ね、世界に一つだけの特殊なカメラを手作りするのだという。

 ■忍者のように近づく

 昆虫写真の自信作も見せてもらった。飛んでいるチョウや、おしっこをしているカブトムシ、ミイデラゴミムシが毒ガスを発射した瞬間もあった。どれも迫力があって、こども記者たちは身を乗り出して「うわー、すごい」と声を上げた。

 栗林さんは「一番おもしろいのはアリ。人間と同じように家族で生活しているよ」と言った。幼虫の世話をし、仲間と助け合ってえさを集める姿は、人間の育児や仕事のようだ。

 とはいえ、小さい昆虫を撮影するのは難しい。普通のカメラでは一部分にしかピントが合わないので、栗林さんは監視カメラのレンズなどを使って改造する。医療用のカメラやセンサーなども利用するそうだ。

 撮影時も、近づくと昆虫は逃げるから、「写す僕の方が昆虫に合わせないといけない」と栗林さん。「驚かさないように忍者みたいになって近づくのがテクニック」と教えてくれた。

 ■命ある生き物だから

 栗林さんの事務所近くの「たびら昆虫自然園」に行って、昆虫を撮影するところも見せてもらった。

 草むらにショウリョウバッタを見つけると、栗林さんは息を殺してひざをつき、腰を低くした。レンズの長さが約30センチのカメラを地面につけ、じりじりとバッタの顔に近づけたが、なかなか逃げなかった。それは魔法のようだった。

 心がけているのは「命ある生き物だから、嫌がるような撮り方はしないこと」。ハチに刺されたり、蚊にたかられたり、苦労も多いけれど、「一生懸命にやったら、だいたい成功する」。

 「栗林さんにとって昆虫は何ですか」と聞くと、「友だちです。僕の好きな楽しい仕事をさせてくれるから」と目を輝かせた。

 ▼栗林慧(くりばやし・さとし) 「虫の目」で見える風景を再現したといわれる医療用内視鏡を基にしたレンズを開発、センサーを利用した自動撮影装置なども製作。昆虫の写真集多数、昆虫の3D映画の撮影監督も務めた。科学写真のノーベル賞ともいわれる「レナート・ニルソン賞」を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。

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=2018/09/20付 西日本新聞朝刊=

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