【きょうのテーマ】飛行機の運航欠かせぬ支援 「ANA福岡空港」を訪ねた

仕事場にはたくさんのディスプレイがあり、飛行機の離発着状況がわかるモニターもあった
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機長(右はし)と飛行の打ち合わせをする日野さん(左はし)
機長(右はし)と飛行の打ち合わせをする日野さん(左はし)
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飛行機の重さとバランスを計算する仕事を模擬体験した。電卓も使い、算数の勉強のようだった
飛行機の重さとバランスを計算する仕事を模擬体験した。電卓も使い、算数の勉強のようだった
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 ●情報集め 時間通りに 安全に

 1日に何便もの飛行機が世界中から降り立ち、旅立つ空港。そんな大忙しの空港内には複数の航空会社が仕事場をかまえ、飛行機が飛ぶスケジュールを管理したり、パイロットをサポートしたりしている。福岡空港(福岡市)にある会社「ANA福岡空港」を訪ね、“縁の下の力持ち”たちの仕事の現場をのぞいた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=飛行機の運航欠かせぬ支援

 空港のビルの一室に入ると、部屋いっぱいにあるモニター画面やパソコンが目に飛びこんできた。ざわざわと無線の音や声も聞こえ、多くの人が画面とにらめっこするように働いていた。ANA福岡空港のオペレーションサービス部だ。

 私たちは、ここで働く日野薫さん(27)たちの仕事を見学した。日野さんは仙台に飛び立つパイロット(機長)に、フライトに必要な情報を伝えていた。「福岡と仙台周辺の天気はいいですが、航路では気流の影響のない3万7千フィート(約1万1千メートル)より下を飛ぶといいと思います」。パソコン画面の天気図などを示して説明する日野さんに機長がうなずいていた。

 このように、出発前のパイロットと打ち合わせをする人は「運航支援者」とよばれる。目的地や航路の天候、飛行機に積む荷物などについてパイロットに伝え、安全に運航してもらう役割をになっている。

 飛行機の離着陸を管理する仕事に「管制官」もあるけれど、どうちがうのだろう。一言でいうと、管制官は「空の交通整理役」だ。日野さんと一緒に働く藤井洋平さん(36)は「管制官はパイロットに離着陸できるかできないか指示するのが仕事で、われわれは情報を集めてサポートするのが仕事」と教えてくれた。

 そのほか、オペレーションサービス部では主に(1)飛行機の出発時間の管理(2)駐機場の管理(3)飛行機の重さやバランスの管理(4)ANAの全路線をとりまとめている部署(東京)との調整-を行っている。乗客に迷惑をかけないよう飛行機を定刻に出発させることが大事で、「時間に追われ、職場は緊張感たっぷり」と日野さん。スタッフは約50人。午前5時半から午後10時半までを交代で働いている。

 私たちは飛行機の重さやバランスを管理する仕事を模擬体験させてもらった。飛行機を安全に離着陸させるため、決められた重さやバランスがある。飛行機に積む貨物の重さや乗客数のデータを確認し、飛行機の前後どちらにのせるかなどの計画を立てる。それをもとに、駐機場で働く現場スタッフが飛行機に貨物などを積みこんでいくそうだ。

 私たちもパソコンで乗客数や貨物の重さのバランスを計算し、飛行機が無事に飛べるか考えた。パソコンに数字を入力している間はミスがないかと考えて緊張した。実際に現場で働く人の緊張感は、その何倍もあるだろうと想像できた。

 ●チームワークと責任感が大事 入社5年目の日野薫さん

 飛行機の運航支援者には、気象や無線などの専門知識が必要だ。どんな勉強をしたらいいのだろう。

 日野薫さん=写真=は「大学時代は気象などを専門的に学んだわけではない」という。その一言に私たちは少しおどろいた。日野さんの専門は体育だったそうで、水泳が得意という。一方で、子どものころからの飛行機好き。特に「飛行機の貨物室に何が入っているのだろう、と興味があった」と話す。大学生のころに訪れた中国で熊本県産の新鮮なイチゴを見てびっくりし、たくさんのものを速く運べる飛行機の力を感じたそうだ。

 日野さんは仕事について5年目。入社後の研修で、無線の資格を取ったり、気象について勉強したりして、現場で働くようになった。仕事をする上で大事なことは、ほかのスタッフとのチームワークや、重大な事故につながらないよう確実に情報をやりとりする責任感だ。日野さんは「この仕事はお客さまの顔は見られないけれど、パイロットなど飛行機を運航する仲間にアドバイスが役立った、と言われるとうれしい」とやりがいを話した。

【紙面PDF】きょうのテーマ=飛行機の運航欠かせぬ支援

=2018/10/02付 西日本新聞朝刊=

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