2020年度から小学校で始まる プログラミング教育って?

飯塚市でプログラミング教育の授業をサポートしている中茎隆先生と人型ロボット「ペッパー」
飯塚市でプログラミング教育の授業をサポートしている中茎隆先生と人型ロボット「ペッパー」
写真を見る
完成したロボットを見せ合う子どもたち
完成したロボットを見せ合う子どもたち
写真を見る
ロボットがうまく動かないときは、佐々木さん(右)にヒントをもらう
ロボットがうまく動かないときは、佐々木さん(右)にヒントをもらう
写真を見る

 ●機械が理解する言葉で指示を出す 算数や音楽の授業に活用

 2020年度から小学校で「プログラミング教育」が始まります。「プログラミング」とは人間がコンピューターに指示を出して動かすことです。学校ではどう学ぶのか取材しました。

【紙面PDF】2020年度から小学校で始まる プログラミング教育って?

 福岡県飯塚市の14校の小中学校では、一足早く昨年度から人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を使ったプログラミングの授業を行っている。ソフトバンクグループが社会貢献事業としてペッパーを貸し出す自治体を公募し、手を上げた飯塚市が選ばれた。

 授業をサポートする九州工業大情報工学部(飯塚市)の中茎隆准教授によると、ペッパーの体や手足を組み立てるのは「ものづくり」、頭脳を作るのが「プログラミング」だ。「プログラミングとは、機械が理解する言葉で『こう動いてほしい』という手紙を機械に宛てて書くこと」だという。

 ◆自分だけのリズム

 「プログラミング」という授業が始まるわけではなく、算数や音楽などの授業の中でコンピューターが活用されるようになるのだ。文部科学省やIT企業などでつくる「未来の学びコンソーシアム」は具体的な事例を紹介している。

 例えば正多角形を作図する算数の授業。辺の数が多くなるほどきれいに書くのが難しくなる。そこで、児童は「辺の長さが全て等しく、角の大きさも全て等しい」正多角形を書くために、どういう角度を機械に指示するかを考える。

 音楽の時間にさまざまなリズムを試しながらよりおもしろい自分だけのリズムを作り、再生するように機械に指示を出すのもプログラミング教育の一つだ。

 ◆将来の大人の素養

 私たちは学校で国語や算数、理科などを学ぶが、みんなが作家や科学者になるわけではない。プログラミングも、プログラマーという職業につく人だけの特別な勉強ではないようだ。

 中茎先生は「プログラミングはこれからの大人の素養」と言う。人工知能(AI)が搭載されたスピーカーやおいしいご飯を炊く炊飯器など、身の回りの多くの物はプログラミングされたコンピューターで動いている。「車の自動運転やスマートフォンのアプリなどがどんな仕組みで動くのか、自分でイメージできることが大切」と話している。

 ●答えは一つとは限らない 考える力身に付ける

 中茎隆准教授によると、プログラミングは失敗しても何度もやり直せるし、答えも一つとは限らない。

 ロボットのペッパーに「写真を撮る」という作業をさせる場合、「写真を撮ります」と相手に声を掛ける▽写真を撮るポーズをする▽「はいチーズ」と言う▽写真をタブレットで相手に見せる▽「撮り直しますか」と聞く-などの指示を人間が出す。二つの動作を同時にするか、順番にするか、何を先にするかなど何度も試しながら、何通りもの組み合わせ方が考えられる。

 プログラミング教育の目的は、目標達成のために問題を解決しながら考える力を身に付けること。その力を生かし、誰にも思いつかない方法で自分のアイデアを実現させることもできるかもしれない。

 ●組み立て、分解…… ロボット教室人気 「ものづくり」にも注目

 私たちのくらしをさまざまに助けるロボット。その頭脳を作るプログラミング教育が始まる一方で、ロボットの体や手足を組み立てる「ものづくり」も子どもたちの注目を集めている。

 「先生、動かーん」「ここが、ちょっと違っとるやん」

 福岡市東区にある「香椎ロボット教室」。子どもたちが部品とにらめっこして、ロボットを組み立てていた。サルのように綱にぶら下がり、腕を前に動かしながら進む「ロボモンキー」。うまく動かないものもあったけれど、教室長の佐々木弘明さん(58)に教えられて作り直すと、スムーズに動くようになった。

 この教室では毎月2回、ロボットを組み立てたり、ロボットで競技したりしている。ピアノや水泳などと並ぶ習い事の一つとして、幼児から中学生まで43人が通っている。組み立て順がしめされたテキストや見本を見ながら組み立てる。

 毎回同じ部品を使い、作っては分解し、次のロボットを作る。中学生ぐらいになると、図面だけをたよりに作る子もいて、ロボットの「頭脳」となるプログラミングも取り入れる。佐々木さんは「論理的な考え方や、ものづくりへの興味を深めてほしい」と話す。

 近くに住む中学1年生、兼城俊佑くん(12)はロボットが登場するSF映画が好きで、一度組み立て、また分解して別のロボットを作る過程がおもしろいそうだ。小学5年の川路菜月さん(11)は「センサーで人を感知して自動で止まったり、信号を感知して動きだしたりする車を考え、つくってみたい」と語った。

 この教室は大人向けの資格取得学校を運営するヒューマンアカデミー(東京)の加盟校の一つで、全国に約1400教室あり、2万3千人が通っているそうだ。ロボット作りに力を入れる大学による子ども向けの教室も各地で開かれている。

【紙面PDF】2020年度から小学校で始まる プログラミング教育って?

=2018/10/11付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]