【きょうのテーマ】「或る列車」魅力を探る JR九州 甘いおもてなしを乗せて走る

金色の車体と正面のハートマークが印象的な「或る列車」
金色の車体と正面のハートマークが印象的な「或る列車」
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ステンドグラスをあしらった1号車の車窓
ステンドグラスをあしらった1号車の車窓
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1号車の天井に隠れている「三つ葉」と「七つ葉」のクローバーの装飾を探した
1号車の天井に隠れている「三つ葉」と「七つ葉」のクローバーの装飾を探した
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車内のキッチンでスイーツを準備する調理クルー
車内のキッチンでスイーツを準備する調理クルー
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スイーツのおいしさに笑顔がこぼれるの中山記者
スイーツのおいしさに笑顔がこぼれるの中山記者
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 ゴージャスな車両で地元産の食材を使ったスイーツなどが味わえる、JR九州の観光列車「或る列車」が人気を集めています。現在、大分ルート(久大線の日田-大分)を運行中の同列車に日田駅構内でこども記者が乗車し、その魅力や客室乗務員を取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=「或る列車」魅力を探る

 「或る列車」を間近で見た。金色と黒を基調にした車体にあしらわれた唐草模様とハートマークに高級感と親しみを感じた。これからの旅への期待がふくらむデザインだと思った。

 1号車に乗り込むと客室乗務員の越地綾佳さんと山口真以さんが車内を案内してくれた。乗降ドアはステンドグラス、高い天井は幸せのシンボル「四つ葉のクローバー」の模様で装飾され、教会のようだった。山口さんから「天井のどこかに三つ葉と七つ葉のクローバーが隠れていますよ」と聞き、探した。遊び心あふれる車内のデザインに感心した。2号車の内装には福岡の伝統工芸品「大川組子」の技が取り入れられていて、デザインで九州の文化を発信しようという意気込みを感じた。

 ■九州の味に笑顔

 スイーツコースのメニューは月替わりで、食材は九州の生産者から旬の物、無農薬にこだわって仕入れる。調理は大分ルートは大分車両センターのキッチンで行い、車内に積み込む。

 コースの一つミニャルディーズ(茶菓子)から「大分県バジルと熊本県レモンのロールケーキ」と「長崎県ブルーベリーと福岡県クリームチーズのタルト」を試食した。越地さんに「おめしあがりください」と言われて口に運ぶと、溶け合う地域の味に思わず「おいしい」と笑顔になった。

 キッチンでは調理クルーが乗客に出すスイーツを仕上げていた。鮮やかな手つきと真剣な表情に、見た目と味で乗客を喜ばせたいというプロ意識を感じた。

 ■復興への願い乗せ

 久大線は昨年の九州豪雨で一部の区間が不通になり、沿線の観光客数が落ち込むなど大きな影響が出た。今年7月、久大線が全面復旧した際、「或る列車」は復興をアピールするために筑後吉井駅(福岡県うきは市)から発車した。日田駅より西側の久大線を走るのは初めてで、筑後吉井駅では500人の市民が小旗を振って列車を見送った。

 「或る列車」は11月4日に大分-佐伯間(日豊線)を初めて走るなど、年内は大分ルートで運行され、県内の観光客増を後押しする。取材を終えたこども記者も、沿線のさらなる復興を願う気持ちを込め、自作の小旗を振って、大分に向かう列車を見送った。

 ●「目配り気配り」大切に

 越地さん=写真(左)=と山口さん=同(右)=に客室乗務員の仕事で大切にしていることを聞くと「お客さまへの目配り気配り」(山口さん)と答えた。特別な服装をした乗客には「何かの記念でのご乗車ですか」、新しい指輪をしているカップルには「新婚旅行ですか」とさりげなく聞いて確認し、スイーツの皿にチョコレートでお祝いのメッセージを書き添えるなどのサービスをするそうだ。

 「ハートを大切にしたおもてなしで期待以上の旅のいい思い出を作るお手伝いをしたい」(越地さん)という言葉から、車体の前後に付けられたハート形のエンブレムの意味を感じた。

 気を付けていることを聞くと、乗客が下車する時に「忘れ物がないようにすること。旅の最後に悲しい思いをさせたくない」と2人は答えた。乗客が満ち足りた気分で家に帰るまでが自分たちの仕事と考えていることに驚いた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼JR九州「或る列車」 2両編成で乗客定員は36人、乗員は運転士と客室乗務員6人、調理クルー2人の9人。JR九州の前身「九州鉄道」が米国に発注したが、一度も営業運転されなかった幻の豪華客車がモデル。2015年から長崎ルート(長崎-佐世保)と大分ルートで運行を始めた。3年間の利用者数は両コースで計約3万人。乗車は10歳から。原則金曜から月曜運行。年内は大分ルートで12月24日まで運行する。

【紙面PDF】きょうのテーマ=「或る列車」魅力を探る

=2018/10/16付 西日本新聞朝刊=

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