【きょうのテーマ】車いすテニス 飯塚で体験 選手の練習量「身にしみた」

初めて競技用の車いすに乗った。体や足を固定するベルトを巻いてもらった
初めて競技用の車いすに乗った。体や足を固定するベルトを巻いてもらった
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車いすを動かしながら、ボールを打つのはとても難しかった
車いすを動かしながら、ボールを打つのはとても難しかった
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ルールや動き方などを古手川コーチ(右はし)から教えてもらった
ルールや動き方などを古手川コーチ(右はし)から教えてもらった
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元日本代表の岩崎さん
元日本代表の岩崎さん
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 車いすとラケットをたくみにあやつり、ボールを打ち合う「車いすテニス」。福岡県飯塚市では毎年、「飯塚国際車いすテニス大会」が開かれ、選手やファンの間では“聖地”として知られているそうだ。こども記者4人が飯塚市を訪ね、初めての車いすテニスを体験取材した。

【紙面PDF】きょうのテーマ=車いすテニス 飯塚で体験

 訪ねたのは、国際大会の会場にもなる筑豊ハイツテニスコート。この日は、九州のジュニア選手の合宿も行われていた。選手との交流などを目的に飯塚青年会議所が体験会を開き、私たちも参加させてもらった。

 競技用車いすを見るのは初めて。ふつうの車いすより少し大きく感じた。タイヤは細く、両輪を正面から見ると「ハ」の字のように広がっていた。背もたれはほとんどなかった。コーチで元パラリンピック選手の岩崎満男さん(63)が「選手ひとりひとりに合わせて作られ、値段は35万~40万円」と教えてくれた。岩崎さんの車いすは濃いピンクで強そうに見えた。

 ◎ ◎

 私たちは最初、車いすに乗って動く練習から始めた。「右に曲がりたいときは左手で車輪を押し出し、左に曲がるときはその逆」とコーチの古手川俊明さん(62)が指導してくれた。まっすぐ進む練習、向きを変える練習、ならんだコーンの間をジグザグに進む練習…。スピードが出た車いすに乗っていると、少しこわくて不安になった。

 この日、いっしょに参加した20代の男性は、普段から車いすで暮らしている。競技用の車いすに乗ったのは初めてというけど、私たちよりもはるかに上手にあやつっていた。ジグザグで進む競走をしたらとても速く、私たちは「さすが」「すごい」と口をそろえた。

 ◎ ◎

 ラケットを持って車いすで動くのは、想像以上に難しかった。ラケットを持たない手の方に力が入り、片方の車輪だけがよく回るので、何度やってもうまく進めない。

 となりのコートでは、ジュニア選手が上手に車いすをあやつり、ボールを追ってコートを走り回っていた。「選手が、いかにたくさん練習したか分かるでしょ」と、にっこり笑う古手川さんの言葉が身にしみた。

 車いすの選手と、車いすを使わない選手がペアを組む「ニューミックス」という部門もあるそうだ。私たちは車いすを降り、ジュニア選手といっしょに組んでプレーさせてもらった。ジュニア選手の打つボールは速くて力強く、おどろいた。私たちのテニスの技術が追いつかずゲームにはならなかったけれど、時間を忘れるほど楽しかった。

 ●「プレーも観戦もエキサイティング」 元日本代表の岩崎さん

 コーチの1人、岩崎満男さんは、車いすテニスがパラリンピックの正式競技になった1992年のバルセロナ大会に日本代表として出場した。たくさんの人に競技の魅力を知ってほしいと話す。

 岩崎さんは23歳のときの転倒事故で、車いす生活を送るようになった。リハビリ中に車いすスポーツに目覚めたそうだ。車いすテニスは友達と遊びで楽しんでいたけれど、試合に出ると、決勝戦まで勝ち上がるほどの腕があった。「でも決勝ではボロ負け」(岩崎さん)。くやしくて本格的に練習を始め、日本代表の座を勝ち取った。

 車いすテニスが日本で広がり始めたのは1980年代。脊髄にけがを負うなどした患者のための専門治療施設「総合せき損センター」(飯塚市)では、リハビリとして取り入れられていた。85年には飯塚で初めて国際大会が開かれた。一方で「当時は車輪で傷つくなどを理由に一般のコートを貸してもらえないこともあった」と岩崎さんはふり返る。

 それでも選手たちの活躍で車いすテニスは広く知られるようになった。岩崎さんは「戦術などは一般のテニスと同じで、プレーすることも観戦することもエキサイティング」と日焼けした顔で笑った。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼車いすテニス 一般のテニスは1バウンド以内でボールを相手コートに打ち返すが、車いすテニスは2バウンド以内で返球するのが大きく違うところ。ネットの高さやコートの広さ、ラケットやボールは一般のテニスと同じ。大きな大会では性別、障がいの種類や程度によって分けられたクラスごとに試合が行われる。

【紙面PDF】きょうのテーマ=車いすテニス 飯塚で体験

=2018/11/01付 西日本新聞朝刊=

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