【きょうのテーマ】科学ショー 魅力を探る 福岡市科学館 「たなやん」のステージ

液体窒素を使った実験で参加者をサポートする田中さん(右)
液体窒素を使った実験で参加者をサポートする田中さん(右)
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なぜか小松菜も。舞台裏にはさまざまな実験道具があった
なぜか小松菜も。舞台裏にはさまざまな実験道具があった
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お湯に液体窒素を注ぐと、白い煙が噴出した
お湯に液体窒素を注ぐと、白い煙が噴出した
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ショーの後に子どもたちと交流するのも田中さんの楽しみだ
ショーの後に子どもたちと交流するのも田中さんの楽しみだ
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 ●宇宙空間も実験で身近に 参加して、好奇心育んで

 昨年10月にオープンした福岡市科学館(同市中央区)の入場者総数が150万人を突破しました。人気が高いイベントの一つが迫力満点の「サイエンスショー」です。ショーを行うスタッフ(学習支援担当)で、「たなやん」の愛称で親しまれる田中久生さん(36)のステージを見て、ショーの魅力を探りました。

【紙面PDF】きょうのテーマ 科学ショー 魅力を探る

 優しい目で迎えてくれた田中さんは「実験を見て、参加して、科学や宇宙への好奇心を育んでほしい」とショーの狙いを説明した。

 基本展示室内のステージに行き、特別にバックヤード(舞台裏)にも入れてもらった。ショーで田中さんの相方を務める「しろちゃん」こと白水秀子さん(28)が実験に使う道具を見せてくれた。さまざまなガラスの容器や小型扇風機、防犯ブザーなどが並び、なぜか野菜の小松菜もあった。白水さんは「何に使うのかはお楽しみに」と笑った。

 ショーの開始5分前、田中さんと白水さんが軽妙な掛け合いで観客を呼び込むと、90ある席はあっという間に埋まってしまった。

 ■トラブルも笑いに

 ショーではISS(国際宇宙ステーション)がある上空400キロの宇宙空間の環境が実験で紹介された。田中さんは「ISSは宇宙でごはんを食べて寝て、研究するところ」と言った。

 宇宙の真空状態を作り出す実験で、田中さんは扇風機を観客に示しスイッチを入れた。事前にチェックしていたのに作動しない。「止まってる!」。田中さんが大げさに叫ぶと、客席から笑いが起こった。電池の接触不良だったのか扇風機はやがて動きだし、結ばれたリボンがたなびいた。トラブルも盛り上げにつなげる話術に感心した。

 風が出ている扇風機と大きな音で鳴っている防犯ブザーをガラス容器に入れ、電動ポンプで空気を抜くと、扇風機のリボンが垂れ下がり、ブザーの音も聞こえなくなり真空を実感した。

 ■科学の世界へ誘う

 マイナス196度の液体窒素を使った実験もあった。田中さんは観客から1人の小学生を選びステージに上げた。小学生が液体窒素の中に小松菜を入れると、またたくまに凍り、取り出して触ると粉々になった。

 最後はお湯が入った容器に液体窒素を注ぎ込んだ。私たちは「温度差がありすぎて爆発するのでは」と身構えたが、白い柱のように煙が噴出した。

 ショーが終わり、田中さんはその容器を持ってきて「手を入れてみて」と促した。液体窒素に触れたお湯は凍ったのではと思っていたが、手を入れるとお風呂くらいの温度だった。液体窒素とお湯の間に気体が生じ、温度の低下を防いだためだ。田中さんは「煙に見えたのは、水蒸気が窒素ガスで冷やされてできた小さな水滴や氷の粒です」と説明した。ショーを通じて科学への興味が深まった。

 ●「楽しく役立つ」内容に 田中さん

 田中さんは東京都出身で、福岡市で育った。子どもの頃の夢は「学校の先生」。地元大学の工学部に進学後、学内に「理科研究会」を立ち上げた。「科学でみんなを笑顔にしたい」と少年科学文化会館(福岡市科学館の前身)で実験イベントを手伝い、卒業後、同館のスタッフになった。

 ショーでは「説明の仕方など、お客さんの反応を見ながら常に変化させることが大切」と言う。研究者から「楽しいだけでは科学の理解に役立たない」と言われ、「自分が科学への理解を深め、常に次のレベルを目指し、楽しく役立つショーにしよう」と考えるようになったという。

 「ショーのアイデアはたくさんある。次は光、音、水をテーマにしたステージに挑戦したい」と話した。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼福岡市科学館のサイエンスショー 担当のスタッフは6人で、平日2回、土日祝日や学校の長期休み中などは6回行っている。ショーがある基本展示室の入場料は大人500円、高校生300円、小中学生200円。原則火曜日と12月28日~1月1日は休館。同館=092(731)2525。

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=2018/11/06付 西日本新聞朝刊=

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