【きょうのテーマ】生産者と消費者つなぐ 道の駅原鶴・ファームステーションバサロ

安心安全な農産物作りについて語る布木専務
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店内は旬の柿を買う人でにぎわっていた
店内は旬の柿を買う人でにぎわっていた
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災害に負けない林さん(右)のナシ作りへの情熱を聞いた
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被災した生産者にバサロが作物の栽培を委託している農地を見学した
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道の駅原鶴・ファームステーションバサロ
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 ●福岡県朝倉市 「一緒に考える農業」 被災農家支援にも力

 福岡県朝倉市にある「道の駅原鶴・ファームステーションバサロ」は年間約60万人の来場者でにぎわっています。人気の理由は地元の新鮮な野菜や果物ですが、生産者と消費者をつなぐさまざまな工夫もあります。昨年7月の豪雨災害で被災した農家を支える場でもあるバサロの取り組みを取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=生産者と消費者つなぐ

 私たちは土曜朝10時にバサロに到着した。駐車場は来場者の車でほぼ満車。ナンバープレートを見ると県内外の幅広い地域から来ていた。一体、何を買いに来ているのだろうと思いながら店に入ると、色鮮やかな柿が山のように台に並べられ、大勢の人たちが熱心に品定めをしていた。

 バサロを運営する第三セクターの会社「ガマダス」の布木昌行専務(71)は「今は柿のシーズンの真っ最中。お客さんがばさろおるでしょう」と笑った。店名は地元の言葉で「たくさん」を意味する「ばさろ」にちなむ。「地元自慢の産品がたくさんそろった店に」という思いを込めた。

 ■「売る責任」発信

 来場者の90%は地元以外の地域からやってくる。なぜ多くのお客を呼び込めるのか。布木さんは農産物を扱う店には安心、安全、新鮮な商品を売る責任があることを説明し、「その責任にバサロがどう向き合っているのかをお客さんに知ってもらうことが大事」と力を込めた。私たちは店頭のショウガなどを手に取った。袋に貼られたバーコードを店内のパソコンに読み込ませると、モニターに「農薬は使用していません」と表示された。誰がどんな肥料や農薬をどのくらい使って栽培したかなどの情報が一目で分かる仕組みだ。

 バサロの職員は「農薬指導士」などの資格を取得し、生産者にアドバイスをしている。店内には職員の名前入りの認定証が掲示され、無農薬、減農薬への取り組みをアピールしていた。

 ■交流も深まった

 バサロでは、生産者は朝、取れたての作物を納品し、閉店後売れ残りを持って帰るルールだ。生産者のスマートフォンに在庫を随時把握できるアプリを入れてもらい、商品が不足すれば自主的に追加納品するシステムも作った。生産者が店に来る機会が増えることで来場者や同業者との交流も深まったという。

 生産者と相談して、試食できる商品を増やすことも大事だ。私たちは柿を試食した。「太秋」はさくさく、「伊豆」は柔らか。品種ごとに食感や甘味が違うと知り、両方買いたいと思った。「売れる物、売れる仕組みを店と生産者が一緒に考える農業を実現したい」という布木さんの言葉が心に残った。

 ●お客さんと仲間から勇気 復興へ支え合う

 昨年7月の豪雨災害で、朝倉市などでは大きな被害が出た。私たちはバサロでナシ農家の林公さん(77)に話を聞いた。

 1・5ヘクタールある林さんの農地の8割が被害を受け、「ナシの木も、畑をつなぐ道や橋も流され、立ち直れないと思った」そうだ。しかし、「お客さんの応援、頑張っている生産者仲間に勇気づけられ、前に進めた」と振り返る。

 ガマダスでは、バサロに近い被災していない農地を借り、農地を失った生産者に作物の栽培を委託する仕組みも作った。布木さんはブロッコリー畑に案内し、「生産者と支え合ってバサロの今がある。これからもそうだ」と話した。野菜に残った朝露が日光できらめき、復興への希望を感じた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼道の駅原鶴・ファームステーションバサロ 福岡県朝倉市杷木久喜宮。「道の駅原鶴」の完成に合わせて1996年4月に開業し、昨年8月に来場者数が1000万人を突破した。営業時間は午前8時半~午後5時半。年末年始は休業。バサロ=0946(63)3888。

【紙面PDF】きょうのテーマ=生産者と消費者つなぐ

=2018/11/22付 西日本新聞朝刊=

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