【きょうのテーマ】人と野菜がともに育つ ホテル日航福岡の自社農園「糸島ファーム」を取材した

緑に囲まれたホテル日航福岡の糸島ファーム
緑に囲まれたホテル日航福岡の糸島ファーム
写真を見る
葉や茎を引っ張ると、土の中からたくさんの落花生の実が出てきた
葉や茎を引っ張ると、土の中からたくさんの落花生の実が出てきた
写真を見る
畑を掘って、大きく育ったサツマイモを収穫した
畑を掘って、大きく育ったサツマイモを収穫した
写真を見る
糸島ファームでとれた野菜がそえられた牛ほほ肉のビーフシチュー
糸島ファームでとれた野菜がそえられた牛ほほ肉のビーフシチュー
写真を見る
とれたての野菜を使ったクリームチャウダーの調理を見学した
とれたての野菜を使ったクリームチャウダーの調理を見学した
写真を見る
畑でこども記者と言葉を交わす総料理長の中橋さん
畑でこども記者と言葉を交わす総料理長の中橋さん
写真を見る

 JR博多駅近くのホテル日航福岡(福岡市博多区)は、自然豊かな福岡県糸島市に自社農園「糸島ファーム」を持っています。いったいどんな所なのか、なぜホテルが畑で野菜を作っているのか。こども記者17人が現地で収穫を体験し、取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=人と野菜がともに育つ

 ■古里のような感じ

 福岡市の西にある糸島半島は、海と山に囲まれ、海から吹く風が気持ち良かった。初めて来たのに「古里のような感じ」と思った子もいた。

 糸島ファームは、ホテル日航福岡が地元の久保田農園から借りた畑だった。同ホテル総料理長の中橋義幸さん(65)が笑顔で迎え、説明してくれた。「この畑は、ホテルで働く料理人などのスタッフが勉強する道場です。スタッフも、野菜も、ここで一緒に育ってほしいと思っています」

 広さは約2千平方メートル。安心安全な食材作りを目指しているので、年間に25種類くらいの野菜を、ほとんど農薬を使わない減農薬で栽培している。収穫すると、ホテルのレストランなどで使っているそうだ。いつも畑の手入れをしている近所の柴田信之さん(71)と波左間信子さん(77)も一緒に、みんなで落花生(ピーナツ)とサツマイモを収穫した。

 ■虫にも大切な役割

 多くの子が落花生は木に実ると思っていたが、実るのは地中だった。葉や茎を引っ張ると、根っこに付いた実がたくさん出てきて、びっくりした。大きく育ったサツマイモを掘り出す時は汗だくになった。「腰がいたいよ」「あー、つかれた」という声がもれ、農業の大変さを実感した。

 虫が苦手な子は、中橋さんから「虫も大切な役割を果たしているよ」と聞いて、ハッとした。虫が土を掘ると、その穴から空気が入るから野菜がよく育つのだそうだ。

 柴田さんは「おいしくなれ、おいしくなれ」と思いながら育てていて、波左間さんは「孫のように思っています」と目を細めた。ホテルのスタッフは月に3、4回来て、種をまいたり収穫したりしているという。

 ■感謝の気持ちこめて

 収穫作業の後、久保田農園のハーブ畑を見学し、糸島ファームでとれた野菜を使った料理をごちそうになった。中橋さんをはじめホテルのシェフらが、うでをふるってくれた。

 メニューは、カブやニンジンなどが入ったクリームチャウダー、牛ほほ肉のビーフシチュー、スイートポテトのタルトなど。ビーフシチューには赤大根が入っていた。愛情をこめて育てた波左間さんは「こがんなるとね」とほほ笑みながら食べていた。それを見て、心が温かくなった。

 野菜を大事に育ててくれている人や、いろんなことを大切にして調理する人がいることを知って食べる料理は、とてもおいしかった。「これからは食べ物をなるべく残さず、感謝の気持ちをこめて『いただきます』と言うようにしたい」と心に決めた子もいた。

 ●活動の中心 中橋義幸総料理長に聞いた 学び、交流する「夢のある畑」

 ホテル日航福岡の総料理長の中橋さんは「糸島ファーム」をつくろうと思いつき、中心になって活動を続けている。こども記者たちがインタビューした。

 中橋さんは29年前、ホテル日航福岡がオープンするときに大阪から来た。料理人として食材の産地を見て回るうちに久保田農園と出合い、畑を借りて2017年1月から糸島ファームを始めたそうだ。理由を聞くと「僕自身が畑に行くと元気になるし、学ぶことが多かったから、ホテルの若いスタッフにも学んでほしいと思いました」と説明してくれた。

 料理をしているときに大切にしていることは「一番は安全、そして気持ちです。一生懸命に作って出せば、必ずお客さんに伝わります」と言った。育てた野菜で料理を作るときは「旬の野菜なので、むだにしないで大切にすること」を心がけ、食べたお客さんが「野菜の味が濃いですね」「おいしかった」と喜んでくれるのが励みになるという。

 糸島ファームには、ホテルにある和食や洋食、中国料理などの飲食店のスタッフらが来て交流し、久保田農園の人とも仲良くなる。スタッフの子どもも自由に出入りし、イベントもできるので、中橋さんは「夢のある畑です」と言った。

【紙面PDF】きょうのテーマ=人と野菜がともに育つ

=2018/12/04付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]