【きょうのテーマ】NPOって何だろう? NPO法20年 社会の課題に取り組む団体

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認定NPO法人「アカツキ」の代表理事・永田賢介さん
認定NPO法人「アカツキ」の代表理事・永田賢介さん
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認定NPO法人「ソルト・パヤタス」 井上広之さん
認定NPO法人「ソルト・パヤタス」 井上広之さん
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NPO法人「循環生活研究所」 本田正之さん
NPO法人「循環生活研究所」 本田正之さん
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 「NPO」って聞いたことがありますか? お金をもうけることを目的とせず、社会の課題に取り組むことを主な活動とする団体です。今年はNPOが活動しやすくなる法律、NPO法(特定非営利活動促進法ができて20年です。NPOの現状などをまとめ、NPOで働く魅力について若手職員に聞きました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=NPOって何だろう?

 ●NPO法人は5万以上 みんなでアイデア実現のために 市民の力で作った法律

 NPOは、英語の「Non Profit Organization」の略で、直訳すると「非営利組織」。内閣府のまとめでは2018年10月末現在、国内のNPO法人の数は5万1600以上。教育、災害救援、まちづくりなど、活動分野は20もある。

 NPO内のコミュニケーション改善などを支援する認定NPO法人「アカツキ」(福岡市博多区)の代表理事・永田賢介さん(36)は、「家や学校、社会のルールに『おかしい』と疑問に思うことや『こんなことしたい』と考えることがNPOの始まり」と話す。みんなで問題の解決やアイデアの実現のために、意見を出し合って考えることがNPO活動の基本だという。

 永田さんはNPOの目的について「社会を変えるのではなく、自分の力で社会を変えていこうと思える人を増やすこと」とも説明する。だから、NPOには、お金を寄付する人、経験を生かして活動に参加するボランティアなど、さまざまな人が関わっているのだ。

 ◇ ◇

 NPO法ができたのは1998年。日本の法律は、官僚と呼ばれる公務員が考えて作ったものが多いが、NPO法は市民が国会議員たちと何度も話し合って、自分たちの力で作った。

 認定NPO法人「まちぽっと」(東京)の資料によると、80年代半ばから市民団体が法律を作ろうと準備していた。その動きを加速させたのが95年の阪神大震災だった。被災地で多くのボランティアが活躍した。そうした市民団体の信用を高め、活動を後押ししようと、NPO法が作られた。

 この法律に従って手続きをすると「NPO法人」(特定非営利活動法人)として認証され、団体として銀行口座をつくったり、事務所を借りたりできる。活動には、商品やサービスを提供して得た収益を使うこともできる。「認定」などのNPO法人になれば、寄付した人の税金が少なくなり、寄付が集めやすくなる。

 国際協力などを行うNPOを「NGO」(非政府組織)と呼ぶことが多い。

 ■働く人の声

 ●「本当にやりたいこと」を求めて転職 認定NPO法人「ソルト・パヤタス」 井上広之さん

 フィリピンで子どもの教育や女性を支援する認定NPO法人「ソルト・パヤタス」(福岡県篠栗町)の事務局長、井上広之さん(29)は、元大手メーカーの営業職から2年半前に転職した。

 大学卒業後は、安定した生活を送りたいという気持ちもあって、大企業に就職し、首都圏を飛び回っていた。しかし「この商品を売ることが本当に自分のやりたいことなのか」と疑問に思うこともあった。そこで、ボランティアとして関わっていたソルトへ思い切って転職した。

 ソルトは、貧困地区の子どもが学校に行けるように支援したり、女性が収入を向上させるために刺しゅう製品を作製・販売したりする事業などをしている。こうした活動には、現地の人以外にも、日本の学生やボランティア、行政の人などとの協力が欠かせない。「仕事で関わる人の多さと幅の広さは圧倒的」と井上さん。会社員時代にはなかったおもしろさだという。

 ソルトの活動をPRするための資料作りや発表するときのノウハウは、営業時代の経験が生きている。給料は当時より減った。しかし「貧困問題をなくす」という明確な目的のために、日本とフィリピンを行き来する日々に迷いはない。

 ●生ごみ堆肥化 「土に触れると元気に」 NPO法人「循環生活研究所」 本田正之さん

 毎週火曜と土曜の午前中、屋根付きの大型自転車が福岡市東区のアイランドシティを回り、住宅の軒先に置かれた生ごみ入りの段ボール箱を回収している。ペダルをこぐのは本田正之さん(31)。NPO法人「循環生活研究所」(同市東区)の職員だ。

 本田さんの仕事は、家庭の生ごみを集めて堆肥にし、地域の人と共に畑で野菜を育てる「ローカルフードサイクリング」という取り組みだ。生ごみをリサイクルし、近所の人同士も仲良くなる「たのしい循環生活」を目指している。利益にしばられず、ボランティアや住民と一緒に環境や地域の課題解決に取り組む。

 「学生時代に出会ったNPOで働く人々が生き生きしていた」と、本田さんは大学卒業後、国際(こくさい)協力に関わるNPO法人に就職。海外の厳しい労働や環境問題にもふれた。生産者にも環境にも優しい物を作り、販売する大切さを実感し、昨年4月に循環生活研究所に転職した。

 本田さんは「アイランドシティでの取り組みを定着させ、世界に通用する仕組みにしたい」と意気込み、「何より、僕は土に触れると元気になる」と声をはずませた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=NPOって何だろう?

=2018/12/20付 西日本新聞朝刊=

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