【きょうのテーマ】最新機器でデジタル工作 「ファブラボ太宰府」で体験

ファブラボ太宰府には、たくさんの工作用具がならぶ
ファブラボ太宰府には、たくさんの工作用具がならぶ
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カラフルなひものような樹脂がつながった3Dプリンター
カラフルなひものような樹脂がつながった3Dプリンター
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複雑な形もすばやく正確に切るレーザーカッター
複雑な形もすばやく正確に切るレーザーカッター
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小学生の利用者もいた。レーザーカッターなどを使って作品を作っていた
小学生の利用者もいた。レーザーカッターなどを使って作品を作っていた
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レーザーカッターでファブラボのスタッフが作ってくれた作品
レーザーカッターでファブラボのスタッフが作ってくれた作品
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 ●3Dプリンター、レーザーカッター… ミリ単位の作業、私にも

 3Dプリンター、レーザーカッター、デジタル刺しゅうミシン…。パソコンなどとつなげて精密にものを作る新しい工作機器だ。自分で買うには高価だけれど、最新機器を使ってものづくりを楽しみたい、という人のための場所が福岡県太宰府市にある。市民工房「ファブラボ太宰府」をたずねた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=最新機器でデジタル工作

 工房に入ると、板やプラスチックなど工作の材料が目に入った。機械の前に座って何かを作っている人もいて、私たちと同年代の子どもがいる家族も来ていた。スタッフの松永裕史さん(29)が出迎え、「もともと、ここは倉庫だったんです」と案内してくれた。

 まず私たちの目に入ったのが、赤や黄色の細いひものようなものがつながった機械。3Dプリンターだ。ひものようなものは樹脂。これを熱でとかして積み重ね、パソコンで作った複雑で立体的なものを形にする。ほかにも木材などをレーザーで細かく削ったり切ったりできるレーザーカッターや、細かな刺しゅうができるミシンなど5種類の機械があった。

 これらを使って、私たちはネームプレート(名札)作りを体験させてもらった。3Dプリンターでは、まずパソコンの専用ソフトで3次元の完成予想図を作る。画面を見ながら厚みや文字のバランスを調整できるのがおもしろかった。そのデータを機械本体に送ると機械が動きだし、とけた樹脂が小さな穴から絞り出され、みるみる形になっていった。ものの形ができていく様子を間近で見るのが新鮮に感じた。

 レーザーカッターも、パソコンで花や動物のイラストや文字を組み合わせ、名札のデザインを作る。それを機械に送ると、レーザーを出す太いペンのような部分が動きだした。指の先ほどのイルカの絵でも、細かな背びれも正確にすばやく切っていった。素材の表面をミリ単位で削ることもでき、私たちはそれぞれの名前を彫刻した。人の手で切ったり削ったりしても、できない作業だと分かった。松永さんは「コンピューターにデータを残せるので、失敗したり、調整したいと思ったりしたときも、何度でもできるのがデジタル工作のいいところ」と話す。

 ここはホームセンターのグッデイが「ものづくりを広く楽しめる場を」と約4年前にオープンさせた。実は、ファブラボと名前がついた市民工房は日本に約20カ所あるほか、世界各地にもある。各工房を運営するのも会社や自治体、大学などさまざまで、それぞれに特徴がある。例えばインドでは水をくむ機械を、スペインでは家をつくっている。学校とはちがい、先生に教わるのではなく、利用者同士で教え合うというのが共通の特徴だそうだ。

 ●自分で作って、ものを大事にする気持ちを

 何でも買える時代だからこそ、自分で作ってみてほしい-。ファブラボで働く松永裕史さん=写真=が、市民工房への思いを話してくれた。

 松永さんは大学生のころ、農業を専門に勉強し、農家に話を聞いたり、農作業を手伝ったりしていた。「作り手の思いにふれたり、食べ物は簡単にはできないことをあらためて感じたりできた」と話し、作ることに関心を持つようになったという。長野県の山村に1年間くらし、消防団など地域の活動にたずさわりながら町や村のくらしについて考える経験もしたそうだ。

 「昔は、身の回りのものや自分で食べるものなどを自分で作ることが当たり前だった」という松永さん。大学卒業後は、ものづくりに関わるホームセンターのグッデイに就職。同社がファブラボを立ち上げたので、スタッフとして働くことを希望したそうだ。松永さんは「自分で作って、作るプロセスや材料の産地に目を向けてみてほしい」と言い、「ものを買って使いすてするのではなく、自分で作れば愛着がわき、ものを大事にする気持ちが育つでしょ」と話した。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼ファブラボ太宰府 「ファブ」は英語の「ものづくり(Fabrication(ファブリケーション)と「すばらしい(Fabulous(ファビュラス)」の2語を合わせ、ラボは「実験室(Laboratory(ラボラトリー)」の意味。開館日は水-土曜の午前10時~午後5時。利用には会員登録し講習を受けることが必要。入会金1000円。機材の利用料は3Dプリンターが1時間1000円など。土曜午前は会員でなくてもスタッフの指導を受けて工作機械を無料で使える。福岡県太宰府市都府楼南2丁目。092(923)8223。

【紙面PDF】きょうのテーマ=最新機器でデジタル工作

=2019/01/17付 西日本新聞朝刊=

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