【きょうのテーマ】九州と本州 海底で結ぶ 関門トンネル

下関名物の「フグ」が描かれた関門トンネル門司側の出入り口
下関名物の「フグ」が描かれた関門トンネル門司側の出入り口
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トンネル内の換気を行う排風機に触れた
トンネル内の換気を行う排風機に触れた
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海底の岩盤からしみ出した海水をくみ上げる設備を見た
海底の岩盤からしみ出した海水をくみ上げる設備を見た
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建設中の関門トンネルの内部。上段が車道、下段が人道(1956年1月撮影・本社資料写真)
建設中の関門トンネルの内部。上段が車道、下段が人道(1956年1月撮影・本社資料写真)
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人道を通り山口から福岡へ「県またぎ」した
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 ●毎日3万台の車が通過 換気や防水で安全守る

 1958年開通の関門トンネル(国道2号・山口県下関市-北九州市門司区は、九州と本州を結ぶ交通の大動脈です。完成当時は世界でも珍しい海底トンネルとして日本の高い技術力が注目されました。車道の下には歩いて通れる「人道」もあります。こども記者がトンネルの安全を守る設備を取材し、人道を歩いてみました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州と本州 海底で結ぶ

 関門トンネルの下関側にある西日本高速道路の展示館「関門プラザ」で、同社九州支社北九州高速道路事務所の高田尚施設第一課長(47)らが出迎えてくれた。

 高田さんは映像や模型を見せて(1)難工事のうえ戦争での中断もあり、計画から完成まで21年かかった(2)戦後は九州の経済成長を支えた(3)熊本地震など災害時の支援物資輸送に力を発揮する-など関門トンネルの歴史と重要な役割を私たちに紹介した。

 トンネルの車道は全長約3・5キロで1日平均約3万台が利用。高田さんの案内でトンネル内の排ガスを取り除く設備を見た。車道天井にはいくつもの換気口があり、大型の排風機と送風機各12台を使って空気を入れ替えている。排風機に触ると強い振動を感じた。高田さんから「周辺は国立公園なので特殊な集じん機を使い、汚れた排気を外に出さない」と聞き、環境への配慮を感じた。

 ■水漏れの心配は?

 トンネルの海底部は水漏れしないの? 高田さんに聞くと「トンネル内には漏れていないが、海底の岩盤から海水がトンネルの周り(外側)にしみ出しています」と答えたので驚いた。その量は1日約4800トン。海水がたまらないようにポンプなどを使って地上にくみ上げる設備も見学した。

 くみ上げた海水は関門海峡に放水する。ろ過されたきれいな水質なので付近の飲食店から「いけすの水に使いたい」などの要望があり、海水の一部をバルブから無料で採水できるようにしている。関門プラザ近くにあるバルブをひねって海水を味見した。さっぱりとした塩味だった。海水からトンネルを守る工夫と意外な活用方法に感心した。

 ■安全と安心を

 施設第一課では、関門トンネルや高速道路の維持や管理を担当している。取材に同行してくれた同課の岡本稔さん(29)と尾本和彌さん(21)に仕事場としての関門トンネルへの思いを聞くと「皆さんの生活に必要な道路。大切に守っていきます」(尾本さん)、「100パーセント安全で安心な通行を目指しています」(岡本さん)と話した。

 取材を終えた私たちは、関門トンネルを利用して車で帰った。「建設中に事故で亡くなった人もいます。難工事を乗り越えて関門トンネルの今があることを忘れないで」という高田さんの言葉をかみしめ、トンネルをつくった人、守る人の汗と涙に思いをはせた。

 ●車道の下 「人道」を歩いた

 関門プラザの隣に「人道」の下関側入り口がある。私たちはエレベーターに乗って海面下44メートルの地下におり、全長780メートルの歩行者用トンネルを歩いた。

 壁面にはフグなど魚の絵が描かれ、海の底を歩いている気分になった。天井から「サーッ」という音がする。人道の上にある車道を通過するトラックだろうか。頭の上を車が走っているのは不思議な感じだ。

 半分ほど歩くと、山口と福岡の県境を示す線が引かれていて、観光客が「県またぎ」の記念撮影をしていた。「関門を越える」ので志望校合格を願って歩く受験生もいる。私たちもジャンプして福岡側に入った。

 「運動のために毎日散歩している」と言う林一さん(81)=下関市=に出会った。「ここなら雨にもぬれない。10年歩いていて、かぜ一つひかないよ」。関門トンネルは林さんにとってどんな場所かと聞くと「生きがいを感じる場所」と答えた。はつらつとした笑顔が印象に残った。

 約15分で門司側に着いた。地上に出ると関門海峡が広がっていた。潮風に吹かれながら、帰りもがんばって歩こうと思った。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼関門海峡の海底トンネル 鉄道の在来線が1942年、国道が58年、新幹線が75年に完成した。国道の車道トンネルの通行料は普通車150円など。人道(利用は午前6時から午後10時)の通行料は歩行者無料、自転車・ミニバイク(いずれも押して通行)20円。関門プラザは入館無料。問い合わせは北九州高速道路事務所=093(618)3141。

【紙面PDF】きょうのテーマ=九州と本州 海底で結ぶ

=2019/02/07付 西日本新聞朝刊=

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