赤ちゃんに教わる授業 みんなが生きているのは奇跡 自分を大事にしてほしい

「赤ちゃん先生」と手の大きさを比べながらふれあう子どもたち
「赤ちゃん先生」と手の大きさを比べながらふれあう子どもたち
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おなかの中の赤ちゃんの様子を映したエコー写真などが、授業で使われる
おなかの中の赤ちゃんの様子を映したエコー写真などが、授業で使われる
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赤ちゃんの成長の記録を見せるママ講師(左はし)。子どもたちも興味津々にのぞきこんだ
赤ちゃんの成長の記録を見せるママ講師(左はし)。子どもたちも興味津々にのぞきこんだ
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生まれたばかりの赤ちゃんが着ていた肌着と帽子。ママ講師が授業で見せると、その小ささに子どもたちも驚いていた
生まれたばかりの赤ちゃんが着ていた肌着と帽子。ママ講師が授業で見せると、その小ささに子どもたちも驚いていた
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 笑ったり泣いたり、抱っこされたり。そして、なぜか人を幸せな気持ちにする-。そんな赤ちゃんたちが小中学校などを訪れ、「先生」として授業をする取り組みがあります。お母さんたちでつくるNPO法人の活動です。「赤ちゃん先生」の授業をのぞくと、子どもたちの笑顔があふれていました。

【紙面PDF】赤ちゃんに教わる授業

 おいでおいでおいでおいで 赤ちゃん

 歌に合わせて、お母さんに抱っこされた1~3歳の14人が次々と多目的ホールに入ってきた。福岡県春日市の春日西小学校。この日は4年生の総合学習の授業で、1~3歳児とそのお母さんたちは「赤ちゃん先生」と「ママ講師」として招かれていた。

 歌で赤ちゃんたちを呼びこんだ4年生約140人はちょっと緊張したような、とまどったような表情。担任の先生の合図で班に分かれると、それぞれの班に赤ちゃん先生とママ講師がついて“授業”が始まった。

 ある班では、ママ講師の村上美幸さん(26)が赤ちゃん先生である有希ちゃん(1)がおなかの中にいたころの様子を、エコー写真を見せながら紹介した。

 「ここに見える小さなものが、心臓なんですよ」と美幸さんが指さすと、児童は「え、どこどこ」と顔を近づけて探した。別の班では、「赤ちゃんはおなかの中でもしゃっくりするよ」というママ講師、後藤香織さん(39)の言葉に児童たちは驚いた。

 ママ講師の話の後は、児童が赤ちゃんの体をさわってみる「ふれあいタイム」に移った。抱っこしたり、足や手の大きさを比べたり。「うわあ小さい」「やわらかい」と、児童たちの顔には自然と笑みがはじけていった。

 春日西小では総合学習で年に2回、この授業を取り入れていて本年度で5年目。この日は2回目の授業で、児童は1回目の授業と比べて赤ちゃんの成長を感じた様子だった。

 「前に来てくれたときよりも、おしゃべりができるようになっていた」「赤ちゃんって数カ月でこんなに成長するんだなと感じた」と感想を話していた。

 授業の最後、赤ちゃん先生の授業に取り組むNPOのスタッフ青木知子さんは「おなかの中で育たず、この世界に生まれてくることができなかった命もある。だから、みなさんがこうやって生きて育っているのは奇跡。自分を大事にしてほしい」と呼びかけた。

 ●小さな子どもとそのお母さんにしかできない「仕事」として 全国に広がる授業

 赤ちゃん先生の取り組みは、神戸市のNPO法人「ママの働き方応援隊」が約7年前から始め、各地に広がっている。赤ちゃん先生の訪問先は、小中学校のほか、看護師などを目指す学生が集まる大学や高齢者施設などだ。

 福岡市周辺では、このNPOの「福岡博多校」が活動し、約40組の母子が「赤ちゃん先生」と「ママ講師」として登録している。赤ちゃん先生として活動できるのは0~3歳。ボランティア活動ではなく、小さな子どもとそのお母さんにしかできない「仕事」として授業をうけおっている。

 小中学生にとって赤ちゃん先生の授業を受けるメリットは、赤ちゃんとそのお母さんの関わりを見ることで、自分自身をふり返り、家族との関係などを考えるきっかけになることだ。

 授業中には赤ちゃんを抱っこする時間もある。こうしたスキンシップについて、スタッフで小学5年生の母である青木知子さんは「小学生になると照れて、実の親子でも抱っこやスキンシップがなくなる。でも子どもって大きくなっても抱っこされたいと思っているんですよ」。小中学生にとっては、スキンシップが安心感や、そのままの自分を受け入れ自分を大事にする気持ち(自己肯定感)につながるという。

【紙面PDF】赤ちゃんに教わる授業

=2019/02/21付 西日本新聞朝刊=

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