【きょうのテーマ】創作活動と障害者福祉 PICFA 佐賀県基山町

メンバーの本田雅啓さん(左はし)に質問するこども記者たち。廊下にはいくつもの作品が飾られ、だれでも自由に鑑賞できる
メンバーの本田雅啓さん(左はし)に質問するこども記者たち。廊下にはいくつもの作品が飾られ、だれでも自由に鑑賞できる
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藤瀬翔子さんの作品「流星群」
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本田さんの作品「ツクヨノシンリン」
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PICFAのメンバーたちで手がけたキャナルシティ博多OPA地下1階にあるモニュメント
PICFAのメンバーたちで手がけたキャナルシティ博多OPA地下1階にあるモニュメント
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「メンバーの作品はイベントのポスターとしても採用されています」と話す施設長の原田啓之さん
「メンバーの作品はイベントのポスターとしても採用されています」と話す施設長の原田啓之さん
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 ●作品は商品のデザインに 出会いの機会増やしたい

 障害のある人たちが創作活動を仕事にする場所があります。生み出された作品は芸術品として、またおしゃれなエプロンや化粧品パッケージなどのデザインとして人々の手に渡ります。佐賀県基山町にある障害福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」をこども記者が取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=創作活動と障害者福祉

 ピクファは2017年7月に「きやま鹿毛医院」の中にオープンした。病院の受付を通り過ぎて廊下を進むと、色とりどりの絵が美術館のように並んだ空間が現れた。施設長の原田啓之さん(44)が「使っていない診療室や手術室をアトリエや事務所として使っています」と説明してくれた。患者の待合室だった場所にはオリジナルグッズを売るコーナーやテーブルがあり、おとずれた人も自由に使える多目的スペースだ。

 ピクファの名前の由来は「PICTURE(絵画)」と「WELFARE(福祉)」。平日午前9時半から午後3時半まで、知的障害、ダウン症、自閉症や精神障害がある10代~40代の10人が利用している。みんな一般の会社などで働くのは難しいけれど、創作活動が好きなのでピクファに集まってきたという。

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 アトリエで黙々と色鉛筆を動かしていたのは園田瑞樹さん(19)。黒く縁取った絵を何色もの色で細かくぬり分け、レゴブロックを積み上げているようだった。本田雅啓さん(35)は細い筆1本だけで、複雑な幾何学模様や風景画を描くそうだ。遠慮がちに作品を見せてくれた本田さんだが、これまでに8回もフランスで作品を展示したという。

 ほかにも布製のブローチをぬったり、パソコンで描いた絵を精密な切り絵にしたり、破った紙をキャンバスにのせてペンキをぬったりと、作風は十人十色。原田さんは「みんなも好きなことを思いっきり、こだわってやるといい作品ができるよ」と教えてくれた。

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 メンバーの絵がデザインされたエプロンやバッグなど「ほしいな」と思う物がたくさんあった。原田さんは「いろんな会社にデザインを使ってもらえることがうれしい」と話す。理由をたずねると「ピクファを知ることで、実は身近にいる障害がある人のことを知ってもらいたいから」と教えてくれた。

 さらに、絵が購入されたり、商品のデザインとして企業が採用したりすると、メンバーの給料も増える。原田さんは「例えばそのお金で映画館に行けば、障害者と社会の人たちが出会う機会が増える」と話す。ピクファを知ってもらうため、観客がいる前で絵を描き、商業施設のモニュメントを制作するなど、施設外での仕事も多いそうだ。

 ピクファではメンバーも原田さんたちスタッフも、楽しそうに仕事をしていた。みんなが得意なことを生かし、活躍できる社会にしていきたいと思った。

 ●「みんながわくわくする場所に」 施設長の原田さん

 施設長の原田啓之さんは、知的障害がある兄がいることもあって、大学で福祉を学び、福岡市内の障害福祉サービス事業所で14年ほど働いた。その経験から、施設や家に閉ざされがちな障害者と社会がつながる場をつくろうと、ピクファの活動を始めたという。

 ピクファが入る病院の1階には地域の高齢者などが運動するジム、子どもを預かる託児所もある。原田さんは「さまざまな人が自然と出会える空間」と話す。

 メンバーには絵を描くのは得意だけれど言葉の発達におくれがあったり、計算が苦手だったりする人も多い。しかし、「多くの人と出会えれば、苦手なことも助けてもらえるでしょ」と原田さん。コミュニケーションが苦手だった人も、地域の人が遊びに来て、新聞の取材などを受けるうちに「人と話ができるようになり、明るくなった」という。

 ピクファは誰でも自由に見学することができ、メンバーの作品やグッズも販売している。原田さんは「働く人も、おとずれる人もわくわくする場所にしたい。みんなもまた、家族や友達と遊びに来てくださいね」と話していた。

 ▼アクセス 障害福祉サービス事業所「PICFA」はJR基山駅から徒歩5分。住所は佐賀県基山町宮浦399‐1、電話=0942(92)2650。

【紙面PDF】きょうのテーマ=創作活動と障害者福祉

=2019/02/26付 西日本新聞朝刊=

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