【きょうのテーマ】視覚障害者支援を学ぶ 歩行誘導、声かけも アイマスクして食事…大変

目をつぶり、ペアを組んだ相手のひじに手をそえて手引きをしてもらう小野絢菜記者(左)
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アイマスクを着けて弁当を食べるこども記者たち
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視覚障害者の幸松成実さん(おく)を自動販売機に誘導した清水愛理記者
視覚障害者の幸松成実さん(おく)を自動販売機に誘導した清水愛理記者
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質問に答える(左から)幸松成実さん、川久保真智子さん。右は歩行訓練士の南奈々さん
質問に答える(左から)幸松成実さん、川久保真智子さん。右は歩行訓練士の南奈々さん
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 ●佐賀県伊万里市で研修に参加

 白い杖を持った視覚障害者が立ち止まり困っています。「声をかけたいけど、どうすればいいの」と思ったことはありませんか? こども記者4人が佐賀県伊万里市社会福祉協議会で開かれた研修会に参加し、支援する方法を学びました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=視覚障害者支援を学ぶ

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 研修会は伊万里地区視覚障害者の会が企画した。講師の歩行訓練士、南奈々さん(38)は、大学で特別支援教育を勉強し、社会福祉法人の養成コースで支援に必要な技術や知識を学んだ。現在、たかだ電動機(同県唐津市)という会社の「視覚障害者支援部てんとうむし」で活動している。

 目が見えない、見えにくい人に(1)白杖を使った歩行(2)点字の読み書き(3)料理-など生活に必要な訓練をしているそうだ。

 厚生労働省によると、認定された視覚障害者は全国で約31万2千人。「見えにくい人を含めると163万人以上ともいわれる」と聞いて、目が不自由なことはめずらしくないと感じた。

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 目が見えない、見えにくい人には「移動の障害」と「情報の障害」があるという。研修では、それらを減らす基本として、まずは「移動の障害」を減らして行きたい場所に誘導する「手引き歩行」のこつを教えてもらった=イラスト。歩き始めたら支援者が「道路があるので止まります」「一度止まって右に曲がります」などと声に出す。目の前の状況や次の動きを伝えれば、「情報の障害」を減らせるという。

 視覚障害者の感覚を知るために私たちはアイマスクをして、館内や駐車場を手引きされて歩いた。にぎっている相手のひじが少しでも自分から離れるとあせったけれど、ゆっくり歩いてくれたので安心した。研修の最後に、視覚障害者の人たちを館内の自動販売機や喫茶店へ案内した。つまずいてけがをさせないかと心配だったけど、無事に到着し“任務”を果たせた。

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 弁当もアイマスクをして食べた。「手を出す前に口を出しましょう」「正面に弁当を置きます。揚げ物系でおいしそう」「はしはふたの輪ゴムにはさまっています」と南さんに言われ、食べる準備を整えた。

 「左手前が白いご飯、その上にレンコンのきんぴら…」。弁当の中身が時計回りに説明された。食べる時ははしでつつき、指で触りながら、それが何かは分からないままに口に運んだ。すごく疲れたし、こぼすと怖いのでお茶を飲むのもあきらめた。アイマスクを外すと、机にはご飯が落ち、服も汚れていた。

 「大変でしょう?」と南さん。「だから、視覚障害者の人がこぼしても、そういうものと思ってね」と言った。それを聞き、相手が食べる様子をじっと見たりせず、会話をしながら楽しく食事をしようと思った。

 ●「何かお困りですか」 まず聞いてほしい 少しの工夫でバリアーなくなる

 伊万里地区視覚障害者の会の川久保真智子会長(62)と会員の幸松成実さん(56)にインタビューした。

 「困っている視覚障害者を見かけた時に子どもができる支援は何ですか」と聞くと、2人は「『何かお困りですか』と聞いてほしい」と声をそろえた。2人とも、自分がどこにいるかわからなくなる時があるそうだ。川久保さんは「『○○へ行くバスですよね』と聞いた時、うなずかれてもわからないので言葉で教えて」と言った。

 点字ブロックについても聞いた。ブロックを足や白杖で確認しながら上を歩く人だけでなく、杖でブロックを確認しながら横を歩く人もいる。そのためブロックの周りにも自転車などがあると危ないという。「歩きスマホ」をする人や、歩道を走る自転車にもひやりとすることがあるそうだ。

 手で触って時間がわかる時計、音声が出る電卓、点字付きトランプなどのユニバーサルデザインのグッズも見せてもらった。自分の歯ブラシに輪ゴムを付けたり、入り口にのれんをかけて部屋を区別したりする人もいるという。「不自由といったら何でも不自由。それを工夫して可能にする過程がおもしろい。バリアー(障害)はちょっとした工夫や配慮でなくなるんです」。幸松さんの言葉に「なるほど」と思った。

【紙面PDF】きょうのテーマ=視覚障害者支援を学ぶ

=2019/03/14付 西日本新聞朝刊=

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