【きょうのテーマ】そうめん作り 取材、体験 完成まで11工程 気候などで細かく調整

上村新一さん(右)がそれぞれの製造工程で使う機械の説明をしてくれた
上村新一さん(右)がそれぞれの製造工程で使う機械の説明をしてくれた
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昔ながらの手法で大引き作業を体験する大林恵奈記者
昔ながらの手法で大引き作業を体験する大林恵奈記者
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引き延ばしたそうめんをハタに掛けると真っ白なカーテンのようだった
引き延ばしたそうめんをハタに掛けると真っ白なカーテンのようだった
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質問に答える(左から)坂本裕二さん、上村一子さん、久人さん
質問に答える(左から)坂本裕二さん、上村一子さん、久人さん
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 ●長崎県南島原市の製麺工場

 そうめんの生産量が全国2位の地域が九州にあります。長崎県の島原地域です。こども記者は今回、島原手延そうめんの中心的な生産地である同県南島原市の工場を取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=そうめん作り 取材、体験

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 長崎県南東部の島原半島には雲仙、島原、南島原の3市がある。この地域で250業者ほどが年間約70万箱ものそうめんを生産している。南島原市によると、半島中心の火山によって豊かな水と、小麦を栽培する肥よくな土地が育まれたことも地域の産業として広がった理由の一つだという。

 訪ねたのは南島原市有家町にある「上村製麺」。工場には小麦粉の香りが漂い、いくつもの機械があった。機械は11段階ある製造工程に合わせて使うそうだ。

 そうめんの原料は小麦粉、塩、水。100キロの小麦粉に塩水45~48リットルを加えてこねるという。2代目の代表、上村新一さん(56)は「その日の気候や使う小麦粉によって、水の量や塩加減をしっかり計って調整する。おいしくて見た目もきれいな麺にするには大切な作業」と説明した。

 仕事は午前5時ごろに始まり、生地をこね、直径3~5ミリの棒状にして熟成させるまでに約8時間かかるそうだ。

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 熟成した麺を引き延ばす「大引き」という作業を昔ながらの方法で体験した。道具は長さ1メートルほどの巨大な箸のような棒。ひも状の麺の束の間に棒を差し込み、上下に慎重に引っ張った。上村さんの「もっと大きく引っ張って!」と言う声で、両腕に力を入れた。この姿勢のまま横に移動していくと、麺と麺がすーっと分かれた。こんなに力を入れても麺が切れず、すごいと思った。この作業も普段は機械を使い、1時間で900セットできるそうだ。

 乾燥させるためにハタという装置に掛けた麺は、長さが約2メートルあり、真っ白なカーテンのようにさらさらと揺れた。触るとひんやりとしていて、ギョーザの皮のようだった。計約5時間乾燥させ、長さ19センチに切断して束ねたら完成。製造にかかる時間は30時間近い。

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 上村さんは18歳からそうめん作りを始めたが、「一人前になるには10年かかるよ」と言っていた。朝は早く、工場の中は夏の暑さも冬の寒さも厳しい重労働の仕事。上村さんにやりがいを聞くと「きれいにできた時、おいしいと言ってもらえた時」と言っていた。ていねいに仕事をする職人さんたちのことを忘れずに、これからもおいしくそうめんを食べたいと思った。

 ●島原手延そうめん 後継者不足が課題

 「上村製麺」は上村新一さんの両親、久人さん(85)と一子さん(78)が1973年に創業した。元々はキュウリ農家だったが、周りでも製麺所を始める人が増えている時代だったという。90年代初めには島原地方で約450業者がいたが、今では半減。11事業者が加盟する肥前手延素麺組合(ひぜんてのべそうめんくみあい)の組合長を務める久人さんは「後継者がいないところも多く、最近は生産者がどんどん減っている」と話す。

 島原手延そうめんは手頃な価格で買いやすいのが魅力。同組合から商品を仕入れて販売する「坂本商事」(長崎県島原市)の坂本裕二社長(46)はネットや海外のスーパーでの販売にも力を入れているそうだ。坂本社長は「高級な商品も開発してブランドとしての島原そうめんを国内外に広めていきたい」と意気込む。

 強力粉を使い、じっくりと熟成させる島原手延そうめんはコシと甘みが強いのが特徴。作りたてから1年以内がおいしく食べられるという。一子さんにおすすめの食べ方を聞くと、麺をつゆで煮込んだ「地獄煮」▽マカロニの感覚でサラダ風に使う▽ゆでる前の麺を汁が多めのカボチャの煮付けと一緒に火を通す-などを教えてくれた。

【紙面PDF】きょうのテーマ=そうめん作り 取材、体験

=2019/03/21付 西日本新聞朝刊=

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