【きょうのテーマ】注文に応えて特別な車製造 西鉄車体技術を取材

全長18メートルのドイツ製の連節バスの営業運転に向けた作業が行われていた
全長18メートルのドイツ製の連節バスの営業運転に向けた作業が行われていた
写真を見る
連節バス内で座席のクッションの取り付けを体験した
連節バス内で座席のクッションの取り付けを体験した
写真を見る
バスの屋根からの転落を防ぐワイヤー付きのベルトを着ける
バスの屋根からの転落を防ぐワイヤー付きのベルトを着ける
写真を見る
富士サファリパーク(静岡県)のスーパージャングルバスは西鉄車体技術が製造。車体にライオンがのっても安全な設計になっている
富士サファリパーク(静岡県)のスーパージャングルバスは西鉄車体技術が製造。車体にライオンがのっても安全な設計になっている
写真を見る
マイクロバスを医療検診車に改造。車体後部を切り取り受診者用のドアを取り付ける
マイクロバスを医療検診車に改造。車体後部を切り取り受診者用のドアを取り付ける
写真を見る
写真を見る

 ●アイデアと技術の“一点物” 乗客の気持ちを第一に

 ゴージャスな観光バス、サファリパークで使用されるジャングルバス、医療検診車など、特別な車はどこで造られているのでしょうか? 社会のニーズに応えるさまざまな車を製造する会社が「西鉄車体技術」です。こども記者が本社工場(佐賀県基山町)で取材しました。

【きょうのテーマ】注文に応えて特別な車製造

   ★   ★

 車体を造る生産部の木佐貫浩志課長(58)が工場を案内してくれた。入り口に技術者全員の顔写真が貼られた「スキルボード」が置かれていた。

 ボードには鉄板の加工や溶接などでどんな資格を持っているかが記されていた。資格や経験に応じて「教えてもらえればできる」「教えられなくてもできる」「人に教えることができる」の3段階で評価されていて、木佐貫さんは「全員で最高レベルを目指しています」と話した。

 血液型も表示され、万一の事故に備えていた。こども記者はバスの天井で作業する際に落下を防ぐベルトも着けてみた。安全を第一に作業していると感じた。

 ■部品もほぼ手作り

 この会社には全国から車体の改造やバスの修理の依頼が年間約600件ある。マイクロバスを医療検診車に改造する作業を見た。車体の後部は受診者が入るドアとステップを取り付けるために大きく切り取られ、側面には発電機を入れる空間が作られていた。

 車体を短くしたり長くすることもできる。木佐貫さんから「注文の多くが“一点物”の車なので部品もほぼ手作りしています」と聞き驚いた。鉄板を加工する作業も見学した。ぴったりの部品を作るには高い技術力が必要だと知った。

 観光バスの改造では、高齢者や体が不自由な人に便利なスロープやトイレの注文が増えているそうだ。「設計から完成まで乗る人の気持ちを第一にしています」という言葉が心に残った。

 ■思いやり込めて

 輸入したバスを国内の安全基準に合わせて改造する作業も行う。工場内には西鉄バス(福岡市)が運行させるドイツ製の連節バス(定員128人)の新車が7台並んでいた。全長約18メートルの車体の各部に、安全確認用のカメラを取り付けるなどの作業が行われた。

 私たちはシートのクッションの取り付けを体験した。指導役の大原茂男課長(55)の「今日もゼロ災でいこう!」というかけ声に身が引き締まった。技術者に手伝ってもらってクッションを固定させると「バチッ」という気持ちいい音がして、やりがいを感じた。

 大原さんは私たちに「乗る人が座って喜ぶ顔を想像すると仕事に力が入るよ」と笑った。使う人への思いやりが「ものづくり」では一番大事だと感じた。

 ●ルーツは航空機メーカー

 私たちが会社の歴史を木佐貫さんに聞くと、「1943年創業の九州飛行機という航空機メーカーが会社のルーツの一つです」と答えた。九州飛行機は、太平洋戦争末期、米軍の爆撃機B29の迎撃用に開発された戦闘機「震電」=写真=を製造したことで知られる。

 写真の震電は胴体の後ろにプロペラがある、私たちが見たことがない姿をしていた。震電は終戦間際の1945年8月に福岡市で初飛行に成功したが、実戦に出ることはなかった。終戦後、震電を見た米軍は、斬新なデザインと技術力の高さに驚き、研究のために機体を米国に持ち帰った。

 九州飛行機は戦後、自動車関連の仕事をするようになり、社名変更や合併を経て、2016年に現在の会社になった。木佐貫さんは「私たちは独創的な飛行機を造った先輩たちを誇りに思い、その技術力を受け継ぎ、磨いていこうと考えています」と胸を張った。

【きょうのテーマ】注文に応えて特別な車製造

=2019/04/04付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]