ハンバーグ 人気の秘密は? 少しリッチで懐かしい ハズレなしの国民食

レアの肉を石で焼きながら食べる人気店「極味や」のハンバーグ
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人気店には長い行列もできる
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和の要素を取り入れたこうじ豆腐ハンバーグ
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 ランチで食べたい定食ランキング1位はハンバーグ定食-。健康計測機器メーカー「タニタ」(東京)が働く男女千人を対象にした昼食に関する調査で、こんな結果が出た。確かに記者もよく食べるし、子どもたちのお気に入りメニューでもある。人気の秘密はどこにあるのか。

 理由を探るべく、まず訪れたのは行列のできる福岡市・天神の人気店「極味(きわみ)や パルコ本館店」。ずらりと並んだ列には韓国人観光客が目立つ。

 約40分待って席に着く。厚めのハンバーグが鉄板にのってきた。表面には焦げ目もあるが、中身は生に近い。それを熱々の石に少しずつのせて、ジュージュー焼きながら食べる。

 ソウル市のユン・ナヘさん(23)はインターネットで見つけ、これを食べたくて福岡に初来日した。「ステーキみたいで、焼きながら食べるのも新鮮。味? もちろんおいしかった」と満足そうだった。

 日本在住8年目の九州大大学院留学生、鄭ハナさん(31)は言う。「韓国人にとってハンバーグは日本食。文化体験の一つなんです」

 店は焼き肉店として創業、おいしさを突き詰めた結果、食べる直前に焼く今のスタイルに行き着いた。「(五感を通して食欲を刺激する)シズル感と、これまでと違う食べ方が受けたと思う」と店舗管理担当マネジャーの小山(こやま)亮平さん(36)。ハンバーグ人気について「親しみやすさとリーズナブルな価格が理由では」と分析した。

   ◇   ◇

 ハンバーグの起源は諸説あるものの、中央アジアのタタール族の料理「タルタルステーキ」が源流とされる。硬い馬肉を細かく切って、たたいて食べていたそうだ。それを焼いて食べる方法がドイツ・ハンブルクで生まれ、労働者たちがジャガイモなどを練り込んで食べるようになったという。

 日本に伝わったのは明治以降。1950年代中頃から家庭に浸透したようだ。

 こうした歴史の紹介など広く情報を発信している「日本ハンバーグ協会」なる一般社団法人もあった。好きな者同士が集まって2013年に結成した。1日1食は食べているという田形友幸理事長は「まず、ハズレがない。塩、しょうゆ、トマトなどソース次第で味が変化するのも面白い」と魅力を語る。カレー、ラーメンと並ぶ三大国民食として「ハンバーグ文化の底上げを図りたい」と力を込めた。

   ◇   ◇

 ハンバーグ人気を手放しでは喜べないという人もいた。家庭料理「一汁一菜 みその葉」(福岡市中央区)を営む料理家、北川みどりさん(53)。「軟らかい物がおいしいという現代の困った食に通じる」からだ。かむ力が弱かったり、魚の骨を出しながら食べられなかったりする若者の姿を目にし、食のあり方を考えさせられるという。

 それでもひき肉料理は肉団子やピーマンの肉詰めなど応用も利き、家庭に欠かせないとも思う。まさに現代のおふくろの味なのだ。

 和食の食材とうま味を生かす、こうじ豆腐のハンバーグを薦めてくれた。九州大の選択科目「自炊塾」の講義でも「豆腐のふわふわ感があり、ソースがなくてもしっかりおいしい。弁当にもぴったり」と好評だ。

 家庭料理の意識は記者にもある。ボウルで材料をまぜる母の姿が記憶に残る。時々、家族で出掛けたレストランで注文したのもハンバーグステーキだった。当時、洋食を食べるちょっとしたぜいたく感も味わった。

 リーズナブルなのにリッチな雰囲気も楽しめる。懐かしい家庭の味でもある。そんな気分をまぜ込んだ洋食であり、日本食でもある。いろんな要素を上手に取り込んだ何とも日本らしい料理ではないか。

 ●こうじ豆腐ハンバーグ

【材料3~4人分】豚ひき肉400グラム/豆腐1丁(350グラム)/塩こうじ大さじ1~2/タマネギ小1個/酒小さじ1/みそ大さじ2/コショウ少々/好みで大葉、ネギ、大根おろしなど

【作り方】(1)豆腐をキッチンペーパーで包み水切りする(2)(1)に塩こうじを塗ってペーパーで包み密閉容器などに入れ、冷蔵庫に1時間から一晩保管する(3)(2)の水分を切り、豚ひき肉、タマネギのみじん切り、酒、みそ、コショウを混ぜ合わせ、粘りが出るまでこねる(4)手にごま油をつけて成形し、フライパンでこんがり焼けたら裏返す(5)酒(分量外)を入れてふたをし、水分がなくなるまで弱火で蒸し焼きにする(6)竹串などで刺し、中まで焼けていたら完成。

=2018/07/18付 西日本新聞朝刊=

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