スタバから消えるストロー マイクロプラスチック問題、消費者に出来る3つのこと

シャーレに載ったマイクロプラスチック。大きな正方形は1センチ四方
シャーレに載ったマイクロプラスチック。大きな正方形は1センチ四方
写真を見る
磯辺教授の研究グループによるマイクロプラスチックの確認作業。採取してきた海水から一つ一つピンセットで拾い上げ、素材や大きさなどを記録する。確認数はこの5年間で10万点を超える
磯辺教授の研究グループによるマイクロプラスチックの確認作業。採取してきた海水から一つ一つピンセットで拾い上げ、素材や大きさなどを記録する。確認数はこの5年間で10万点を超える
写真を見る

 コーヒーチェーン大手のスターバックスが今月、使い捨てのプラスチック製ストローを2020年までに世界中の店舗で全廃すると公表した。米マクドナルドも紙製ストローの導入を発表し、なぜと思った方も多いだろう。背景にはマイクロプラスチック(MP)による海洋汚染がある。

 見せてもらった写真は、コンテナに積まれたペットボトルやポリ袋のごみの山だった。福岡県の博多湾で4月、漁師たちが今季の底引き網漁の解禁日から5日間で回収したものだ。

 「手間はかかるし汚いし。でも、海底にごみがたまると稚魚や稚貝がすめなくなるんです」。福岡市漁協の伊崎支所運営委員会長、半田孝之さん(61)が自主的に海底ごみを回収する理由を説明してくれる。

 組合員はエビやカレイを捕獲、同時に網に掛かるごみを仕分けして港まで持ち帰る。市による「豊かな海再生事業」の補助もあって年間40トン近くを処分する。「沖に流れていく分も相当ある。福岡がごみを流し、日本海を汚していると言っていいぐらい」。半田さんはそう実感する。

 ごみの大半を占めるプラスチックは太陽の紫外線や波で砕かれる。5ミリ以下になった微細なものがMPだ。海に流れ出すと回収はほぼ不可能。分解されず、有害な化学物質を吸着する性質があり、誤飲した魚を通して人間の生殖・代謝機能を乱す内分泌かく乱物質として働く恐れもあるなど悪影響が懸念されている。

   ◇    ◇

 「日本の周辺海域のMP濃度は世界平均の27倍に達しています」。九州大応用力学研究所(福岡県春日市)の磯辺篤彦教授が深刻な状況を説明する。

 27倍という数値は国内での排出だけでなく、海流の上流に位置する中国と東南アジア諸国の影響も大きいという。世界のプラスチックごみ廃棄量の55%を占めるとされるためだ。

 環境省の海洋プラスチックごみの研究に携わり、昨年は世界で初めて南極海でMPを採取、公表した。「南極海にあったということは世界中の海に存在するということ」と言う。

 MPを体内に取り込んだ魚も国内各地で確認されており、何もせず放置すれば将来、大きな禍根を残すことになる。磯辺教授は「MPの問題は二酸化炭素による地球温暖化と似ている」という。先に無秩序に排出してきた先進国と開発半ばで制限を受ける途上国との利害対立や、世界的対策が急がれるのも同じ構図。本年度、新たな3カ年に入った環境省の研究でリーダーを務める磯辺教授は「50年後の状況を予測し、政策提言につなげたい」と語る。

 海外は既に具体的なMP対策に乗り出している。フランスはプラスチック製の使い捨て食器を20年から禁止する。レジ袋を禁止した国やペットボトルでの飲料水販売を禁止したところもある。スタバなどの取り組みも社会の流れに応じた結果とも言えよう。

 洗顔料や歯磨き粉に研磨剤として含まれる微粒子プラスチック「マイクロビーズ」も忘れてはならない。商品の成分表ではポリエチレンやポリプロピレンとして表示している例が多い。これも製造禁止などの対策が各国で進む。日本化粧品工業連合会(東京)も16年、会員企業へ「使用中止に向けて速やかに対応を図る」よう要請文を送った。

 ●(1)影響を知る (2)使い捨てを避ける (3)代替品を支持する

 消費者は何ができるのだろう。世界の漂着ごみの7割がプラスチックで、ほとんどが日常生活品という現状から、磯辺教授は「まずはMPについて知ること。次は使い捨てプラスチック製品は使わないという意識改革と生活改善」を提案する。産業界の代替品や新素材が出たら「多少の不便さや値上げは許容し、支持を」と求める。

 海に生きる半田さんは言う。「住民一人一人が気をつけてほしい。海は未来から借りているものだから」

 そもそも飲み物にストローは必要なんだろうか。ペットボトルじゃなくても水筒を持ち歩けば冷たいお茶や水を飲める。ちょっと重いのを我慢すればいいだけだ。すぐに始めたい。

=2018/07/25付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]