<53>12歳下のパートナー

練習パートナーとなった小鴨さん(左)と吉冨博子さん
練習パートナーとなった小鴨さん(左)と吉冨博子さん
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●バルセロナ五輪女子マラソン日本代表 小鴨 由水さん

 ママさんランナーとしての復活を夢見始めた私。2006年10月、自宅近くの福岡大のグラウンドに練習に行ったら、懐かしい方に会いました。岩田屋時代にお世話になった重松森雄監督です。岩田屋の後、サニックス女子陸上部の監督となり、この日は福岡大で公開講座「ホノルルマラソンを走ろう会」の講師を務めていらっしゃいました。

 「久しぶりだね。まだ今からでも走れそうな体形をしているね」と監督。さすがに見る目が鋭いです。私は子どもを2人産んでから、再びマラソンを走りたい気持ちが芽生えたことなどを伝えました。

 それからしばらくして、監督から提案が。「1人で走るのは大変でしょう。小鴨さんにちょうどいいレベルの練習パートナーがいますよ」。紹介されたのが、吉冨博子さんでした。

 今年4月のボストン・マラソンで、「市民ランナーの星」と呼ばれる川内優輝さん(埼玉県庁)が瀬古利彦さん以来、日本勢31年ぶりの優勝を飾りましたね。吉冨さんは女子の部で、日本人最高の10位に入りました。市民ランナー出身の女性で今、一番強い選手と言っても過言ではないかもしれません。増田明美さんのニックネーム「女瀬古」になぞらえれば、「女川内」といった存在です。

 私と吉冨さんは、監督に福岡大の食堂で引き合わされました。吉冨さんは監督がいたサニックスに所属していましたが、脚を痛めて退部。故障が癒えてからは佐賀市富士町の実家で、家業の花の栽培を手伝いながら、1人で練習を続けているとのことでした。

 私も、所属する実業団がない大変さはよく分かります。話すうちに、誕生日が同じ12月26日ということが分かって意気投合。私35歳、吉冨さん23歳。年齢差12歳の「でこぼこコンビ」が誕生しました。

 07年秋から2人で練習を始めました。メインとなる30キロ走は、重松監督が現役時代に何度も走ったというコースを教えてもらいました。福岡市早良区脇山から標高653メートルの板屋峠まで10キロを一気に上り、残り10キロは平たんな道、最後の10キロは下り坂になります。

 吉冨さんは小柄で一見、普通の女の子ですが、一緒に走って驚きました。身長の割にはストライドが広くてバネがある豪快な走り。私にないものを持っていました。彼女と助け合い、競い合えば、一緒にタイムを縮めていけそうです。私は手応えを感じていました。

=2018/06/04付 西日本新聞朝刊=

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