<54>夢を追いチーム結成

結成された「ファーストドリーム」。前列左から2人目が小鴨さん
結成された「ファーストドリーム」。前列左から2人目が小鴨さん
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●バルセロナ五輪女子マラソン日本代表 小鴨 由水さん

 次男を出産後の2007年秋、吉冨博子さんという格好の練習パートナーを得た私は、岩田屋時代の恩師、重松森雄監督の指導を受けながら、本格的に陸上の練習を再開しました。

 ただ、長男の妊娠から8年近いブランクがあります。衰えた足腰や体幹、心肺機能を元に戻すには、アップダウンのあるロードが効果的と考え、2人でいろんなコースを巡りました。自然豊かな福岡は、山あり砂浜ありで、陸上のトレーニングにとても適した街だと、改めて実感しました。

 中でも、2人でよく走ったのがこのルート。出発は大濠公園です。まず西公園に行き、百道浜の砂浜を走り、小高い山にある愛宕神社へ登り、大濠公園に戻るのです。神社の急な石段をガーッと上って、名物の「いわい餅」を食べました。これがおいしくて、2人ともやみつきになりました。

 何回か、佐賀市富士町の吉冨さんの実家で、家業の花栽培のアルバイトを兼ねたトレーニングもやりました。福岡市城南区の自宅から、佐賀との県境にある三瀬峠を登って吉冨さん宅まで、20キロ余りを1人で走っていきます。到着すると、吉冨さんのご両親に教えてもらい、収穫した花の下葉を落としたり、雑草を抜いたりするのです。1泊してバイト代を頂くと、下りを一目散に走って帰りました。

 そうやって私たち2人が福岡で練習を重ねているうち「私も一緒に走りたい」と言う女性の市民ランナーが集まってきました。週に2回、大濠公園で合同練習を続けるうちに、「私たちのチームをつくろう」ということになりました。

 実業団の廃部、結婚、出産…。いろんな事情で一度は陸上を諦めた女性たちが集い、夢を実現しよう‐。そんな思いを込めて、チーム名は「ファーストドリーム」としました。参加選手は私、吉冨さんら総勢9人。マラソンで3時間以内、いわゆる「サブスリー」を目指す女性市民ランナーの集まりとしました。

 監督は、サニックス女子陸上部が07年に廃部になった後、フリーになっている重松さんが引き受けてくれました。重松監督は、単に練習を見るだけでなく、積極的にスポンサーを募って競技環境を整えていくことも、約束してくれました。

 ピンク色のチームの旗やユニホームも出来上がり、09年1月22日、ファーストドリームが発足します。最初に出場する大会は、その3日後に開催される「大阪国際女子マラソン」でした。

=2018/06/05付 西日本新聞朝刊=

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