<55>17年ぶり「ガチ」勝負

北海道マラソンに遠征したファーストドリームの関係者や家族。小鴨さんは次男を抱いている
北海道マラソンに遠征したファーストドリームの関係者や家族。小鴨さんは次男を抱いている
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●バルセロナ五輪女子マラソン日本代表 小鴨 由水さん

 2009年1月25日。37歳の私は、マラソンで3時間切りを目指す女性チーム「ファーストドリーム」の一員として、大阪国際女子マラソンに臨みます。

 42・195キロを走るのはゲストランナーで出た02年東京国際女子マラソン以来7年ぶり。本気、いわゆる「ガチ」で走るのは1992年バルセロナ五輪以来、実に17年ぶりです。

 スタートラインについた私は、久しぶりの緊張感に襲われます。チームからは私と練習を共にしてきた吉冨博子さんを含め、総勢7人が出場しています。一番力がある吉冨さんは、軽く3時間を切るでしょう。最年長の私としては、何としても一緒に「サブスリー」を果たし、チームの門出を祝いたかったのです。

 「いつも通りの走りをすれば大丈夫」-。自分にそう言い聞かせ、私は走りだします。20キロまでは1キロ約4分のペースを守って順調でした。ところが、25キロ付近から足の裏が痛み始めます。実業団時代と同じ薄めのシューズがいけなかったようです。ブランクを経て筋肉の質が変わったのかもしれません。歯を食いしばりゴールを目指しました。

 そして、ゴールタイムは2時間58分52秒。目標は達成しましたが、私は「待てよ」と思います。もうちょっと頑張れば、苦い思い出のあの記録も更新できたのに…。そう、惨敗した五輪の2時間58分18秒です。

 私は発奮し、一層の練習に励みます。そして8月、チームメートと北海道マラソンに挑みました。一度、夏のマラソンも走ってみたいという思いがあったのです。天候は曇りで気温21度。夏場にしては、絶好のコンディション。私は快調に走り、記録は2時間52分59秒でした。五輪の記録を17年ぶりに更新し、リベンジを果たしました。

 そして、10年1月の大阪国際女子マラソンに私は挑みます。月830キロを走り込み、十分な手応えがありました。当日は寒さに悩まされましたが、タイムは2時間50分30秒。これが私の生涯2番目の記録、セカンドベストになりました。38歳でこの記録を出したことを、私は誇りに思います。

 その後、私はファーストドリームを離れましたが、チームは今も活動しています。そして、私の相棒だった吉冨さんは、メモリード女子陸上部に入って念願の実業団復帰を果たし、2時間30分切りを目標に、第一線で走り続けています。ぜひ彼女たちに、熱い熱い、声援を送ってください。

=2018/06/06付 西日本新聞朝刊=

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