<58>腰高フォームが理想

大濠公園でランニングの実演をする小鴨さん。背筋がしっかり伸び、腕が前後均等に振れている
大濠公園でランニングの実演をする小鴨さん。背筋がしっかり伸び、腕が前後均等に振れている
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●バルセロナ五輪女子マラソン日本代表 小鴨 由水さん

 私は2010年、西日本短大健康スポーツコミュニケーション学科の非常勤講師となりました。きょうは前回の続きで、ランニングの仕方の講義をします。ちょっと抽象的で難しいかもしれませんが、ついてきてくださいね。

 まずはフォームから。ウオーキングではかかとから地面に下ろしますが、ランニングでは足裏全体で着地すること。着地の衝撃を和らげるためです。

 そして、腕をしっかり振りましょう。肘の角度は90度が目安。脇は開かずに前後に振ること。その時に後ろを意識しましょう。自分では前後同じ幅で振っているつもりでも、アマチュアの方は前ばかりになりがちです。前後均等に腕を振ることで、スムーズな推進力が生まれます。

 大事なのが姿勢です。頭のてっぺんを糸で釣られているイメージを持ち、背筋を真っすぐ伸ばしてください。分かりにくい人は、操り人形を思い起こしましょう。ダランとなった人形が、糸をピンと上に張ったらシャキッと立ち上がりますね。あの感じです。

 そうすると、ちょっと背伸びした感じになり、理想的な「腰高」のフォームが出来上がります。腰が落ちた走りでは、脚が十分に伸びません。腰を高く保ち、脚の付け根の上の方から脚を前へ出していくのです。私が実業団時代に大切にしたのは「おへその辺りから脚を出す感覚」でした。ストライドがスッと伸び、省エネで体を運べますよ。

 最後に呼吸法です。吸ってばかりでは過呼吸になるので、吸うのはあまり意識しないこと。きついなあと思ったら、フーッと息を吐いて、肺の中の空気を出し切りましょう。すると嫌でも肺に空気が入ってきて、自然な呼吸になります。

 ただ、走り方は人によって千差万別です。宗兄弟や谷口浩美さんのようなトップアスリートでも、首をかしげて走っていましたね。走り方の基本を知った上で個性も大切にしながら、フォームを固めましょう。

 それにしても、人はなぜ走るのでしょうか。健康のため。ダイエットのため。長生きするため。嫌なことを忘れるため。人それぞれいろんな理由があるでしょう。私の知り合いには「おいしいビールを飲むため」と言う方もいます。

 私もたまに、なぜ私は走るのかを考えてみるのですが、「好きだから」としか思い浮かびません。走ることは人生にも似ていて、奥深いですね。

=2018/06/09付 西日本新聞朝刊=

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