<69>保険会社の正社員に

富国生命の営業所で、顧客と電話でやりとりする小鴨さん
富国生命の営業所で、顧客と電話でやりとりする小鴨さん
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●バルセロナ五輪女子マラソン日本代表 小鴨 由水さん

 2014年2月、私はかけがえのないパートナー、松永光司(こうじ)さんを亡くしました。彼の死に加えて悔やまれたのが、12年に離婚した際、彼の生命・医療保険を解約していたことでした。

 お恥ずかしい話ですが、たくさんの医療機器が並ぶ大学病院の集中治療室(ICU)で、私の頭に浮かんだのは「ここの支払いをどうしよう」-でした。保険に入っていれば、お金の心配などせずに「いくらかかってもいいから、治してください」と言えたのに…。子ども2人が大学や高校に進む際にも、まとまったお金が必要です。保険の大切さが身に染みました。

 そこで私は職を探しつつ、子ども2人のため保険に入ることにしました。どんな保険が良いか決めかねている時、たまたま一本のLINE(ライン)が入ります。「富国生命保険」に勤めるママ友の村上里美さんからで、久しぶりに喫茶店で会うことにしました。

 私が光司さんの急死を告げると、彼女は驚き「あなたの保険はぜひ私につくらせて」と言います。善は急げと、その足で営業所へ。所長の三木毅さんを交えて話すうちに、三木さんがこう切り出しました。

 「そういう経験をされたあなたなら、たくさんの人に保険の素晴らしさを伝えられるのではないですか。職も探していらっしゃるようなので、うちで正社員として働きませんか」

 ということで、私は14年9月、富国生命に入社し、福岡南営業所の保険外交員になりました。今まで正社員で勤めたのは実業団時代だけで、不安と戸惑いがありましたが、「光司さんの分まで」との思いが、私の背中を押しました。

 扱うのは学資保険と特約組み立て型総合保険。特に総合保険は死亡時や要介護時への備え、がんなどの医療保障を、お客の年齢や家庭・健康・経済状況に応じて組み合わせ提案します。じっくり話してその人に一番合う保険を見いだす仕事は、やりがいがあります。

 ただ、給与は最低基本給と歩合給の組み合わせ。契約を取らないことには、息子2人を養えません。私の場合は、陸上で培った人脈が大きな力になりました。福岡マラソンの取材に来た女性記者の方が妊娠中と分かり、お宅におじゃましてちゃっかり学資保険を契約したこともありますよ。

 そして私は15年7月、全国の新人外交員で6番目の成績を上げ「ルーキー賞」を獲得しました。すごい? いいえ、たまたまです。

=2018/06/23付 西日本新聞朝刊=

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