【耕運記】和白干潟のアオサ問題 目届かせるハード整備を

和白干潟で群れるコメツキガニ。アオサの積もる量次第では死んでしまう
和白干潟で群れるコメツキガニ。アオサの積もる量次第では死んでしまう
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和白干潟を埋め尽くしたアオサを回収する市民たち=2012年のお掃除大作戦
和白干潟を埋め尽くしたアオサを回収する市民たち=2012年のお掃除大作戦
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 海底から離れ、海中を浮遊しながらでも栄養を吸収し、10日間で約10倍にも成長するという海藻アオサ。福岡市東区の和白干潟では1990年代後半をピークに毎年、夏から秋にかけて大量に打ち寄せられて腐敗、悪臭を放つやっかいな存在となっている。掃除イベントなど啓発に取り組む市民グループもあるが、地域住民の関心はいまひとつ。抜本的な解決策も見つかっていない。

 真夏の太陽の下、流れ着いたアオサが干潟の所々で乾燥し、こびりついている。今月中旬、和白干潟。悪臭というほどのにおいはない。例年より打ち上げられる時期は早いという。

 アオサはカモやカニなどの餌になる一方、大量に積もるとその下にいるアサリ、ゴカイなどは酸欠で死ぬ。これらの生き物は海水や土壌の栄養分を摂取し、干潟の浄化作用を支える。いなくなれば環境が悪化する。アオサの大量発生が続く現在、「負のスパイラルに入っている」。同干潟を約20年見つめてきた環境保護グループ代表、松本悟さん(60)はこう指摘する。

 和白干潟は博多湾東奥部にあり広さ約80ヘクタール。秋から春にかけて多くの渡り鳥が見られる。55年ごろには「和白こども海水浴場」として親しまれた。「沖の飛び込み台に何度も上って楽しんだ」。近くの小金丸瑞穂さん(71)は懐かしそうに当時を振り返る。ノリ養殖が盛んな時代。周囲には民家も少なかったという。

 その後、市街地が広がり住宅が急増。同湾流域の都市化も相まって排水対策が追いつかず、閉鎖性の強さから急激に汚れ、窒素やリンなど栄養塩による富栄養化が進んだ。大量発生の一因だ。

 湾東部の埋め立て計画に伴い81年、漁業権が買い取られノリ漁業者も離れた。小金丸さんは「海をなりわいとする厳しい目が届かなくなった。汚れが目立つきっかけになった気がする」と語る。

    ◇   ◇

 干潟は日光が海底に届きやすいことから、アオサが大量発生しやすい。福岡市は対策として、海中のアオサをベルトコンベアで巻き上げる回収船を出す。2013年は秋口の7日間で約410トンを処分した。事業費は870万円。海岸に流れついて処分された分は123トン(一般ごみを含む)だった。

 堆肥化の委託事業(180万円)もあるが、大量のアオサを生かせるまでには至っていない。

 下水道整備が進んだ現在、生活排水など流れ込みは少ない。アオサも少しずつ減る傾向にあるという声もあり、一定の効果は出ているのではないか。

   ◇   ◇

 「干潟の面白さを紹介したい」と啓発イベントなどを仕掛ける松本さんは、干潟への関心が地域に広がらないことが悩みだと打ち明ける。

 地域の一住民として感じるのは、啓発の催しなどソフト面を支えるハード面の不足だ。同干潟は住宅街に隣接しており、駐車場がないため行きづらい。干潟の隣接地は市が管理しているという。うまく活用できないものだろうか。

 「潮干狩りを楽しめるなど身近な公園になれば住民が足を運ぶ。干潟を守ることにもつながる」。小金丸さんは人の目に常に触れさせるための工夫を求める。

 同干潟ではカニの群れが観察できるようになった。生き物の営みは続く。アオサの大量発生を防ぐ明確な対策はいまだ示されていないが、解決に向けた道筋を探るヒントは干潟にある気がしている。

 ◇和白干潟のエコチャレンジ アオサのお掃除大作戦2014 9月6日、20日、10月4日のいずれも土曜午後1時半から3時まで。参加回数に応じて、遊園地「かしいかえんシルバニアガーデン」の入場料が無料になるなどの特典あり。協賛のイオン九州、コカ・コーラウエストは飲み物や菓子を提供する。


=2014/08/27付 西日本新聞朝刊=

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