【働くカタチ】主婦の潜在力を企業に 経営者ら招き人材コンテスト 福岡のNPO 接点づくり後押し

「ママ☆ドラフト会議」で出場者のスピーチをたたえる企業関係者
「ママ☆ドラフト会議」で出場者のスピーチをたたえる企業関係者
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一家で休日を過ごす下倉樹さん(右)
一家で休日を過ごす下倉樹さん(右)
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 ■新訳男女■ 
 埋もれた「ママ人材」にスポットライトを当てようと、再就職を目指す女性のコンテスト「ママ☆ドラフト会議」が今月、福岡市で開かれた。会場では出場者の潜在力と熱意を高く評価する声が上がったが、時間的制約の多い子育て世代が活躍できる場は、まだ限られているのが現状だ。

 「経理やイラスト作成もこなせます。子育てを通じて複数のことを段取りよく進めるマネジメント力も身につきました」。ステージで自己アピールするのは、結婚・出産を機に退職した元教師や1級建築士などの4人。「経験を生かして再び社会の表舞台に立ちたい」と語る姿に、審査員たちが次々に「いいね!」のプラカードを掲げた。

 コンテストは、福岡市のNPO法人ママワーク研究所が初めて開催した。企業経営者ら約20人が審査員となり、就職面接さながらに採用したい人材かどうかを判定する。採用には直結しないが、副理事長の阿部博美さんは「優秀な人材が眠っていることを企業にアピールするのが狙い。育児中も柔軟に働ける環境づくりを後押ししたい」と話す。

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 内閣府の少子化社会対策白書(2013年)によると、出産をきっかけに女性の5割以上が仕事を辞め、その4分の1は子育てとの両立が難しいため、やむを得ない、という理由だった。再就職する場合も両立に支障ない「一定時間内にできる仕事」を望む傾向が強く、実際の就職につながらなかったり、能力を発揮できなかったりする人が多いようだ。

 コンテストでグランプリに輝いた下倉樹(いつき)さん(34)=福岡市=も、10年前に結婚するまでは全国展開する企業の営業職だった。同期入社の夫と同じ地域で働くことが認められず、どちらかが辞めるしかなかった。

 営業経験で培った行動力や人脈づくりは退社後も役立った。子育てサークルを立ち上げ、情報紙を発行するために約60社から協賛金を集めた。調味料や食育に関する資格を取り、講座やイベントを開いている。

 コンテストで自分のスキルを再認識した下倉さんは、「私らしい働き方」を模索し始めた。

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 調味料の専門家として、フリーランスで働きたいと思うようになった下倉さん。飲食店の契約アドバイザーや、企業プロジェクトへの参加をイメージする。問題はどうやってそんな仕事を探すかだ。

 スキルの高い「即戦力」は企業側も求めているが、「仕事を依頼したくても接点がない」「中小企業は求人を知ってもらうこと自体が大変」という声がある。阿部さんは「ママと企業のマッチング機関が必要」と指摘する。

 ママ人材の活用が進み、短時間勤務やワークシェアリングなどの柔軟な働き方が広がれば、女性が結婚・出産後も仕事を続けやすくなる。同研究所は「働き方の選択肢を増やすことは、有能な人材をひきつける魅力ともなる」と、企業の積極的な取り組みを呼びかけている。


=2014/08/30付 西日本新聞朝刊=

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