子ども・子育て支援新制度 幼稚園 保育所 懸念、それぞれに 北九州でシンポ

パネルディスカッションでは、子ども・子育て支援新制度について、活発な議論が交わされた=北九州市
パネルディスカッションでは、子ども・子育て支援新制度について、活発な議論が交わされた=北九州市
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 ■新訳男女 語り合おう■ 
 来年4月から始まる「子ども・子育て支援新制度」。待機児童解消など子育て環境を改善する切り札として期待されるが、主な担い手となる保育所と幼稚園には、それぞれの立場で懸念があるようだ。8月23日に北九州市で開かれた新制度をめぐるシンポジウムをのぞいた。

 シンポは北九州市の主催。保育所や幼稚園、子育てボランティアら関係者がパネリストとして登壇した。

 口火を切ったのは北九州市私立幼稚園連盟の村上順滋会長。「今のままでは幼稚園は生き残れない」。働く女性が増えて保育所の待機児童が深刻化する一方、幼稚園の定員割れが相次ぐ現状に、村上会長は危機感を抱いている。

 新制度下の「認定こども園」に移行すれば、幼稚園は0~2歳児も預かれるようになり、新たな収入の道も開ける。村上会長は「月」を超少子化社会にたとえ、「月には自動車(現制度)では行けない。ロケット(新制度)に乗り換えないと」と新制度に前向きな姿勢を見せた。

 ただ、新制度に移行するか否かは各幼稚園の判断に任される。政府が示した公定価格(施設に払う補助金)では、園児1人当たりの補助金額が低い大規模な園で減収となったり、自治体独自の補助金が未確定だったり、不透明な部分が多い。北九州市の7月の意向調査では市内94私立幼稚園の9割が新制度に移行しないと回答した。「新制度への期待感はあるが、月に行けば何があるのかじっくり考えたい」と話した。

 一方、保育園は、幼稚園と比較して、新制度に移行しても運営面で変化が少ないとされる。北九州市保育士会の北野久美会長は「新制度で子どものために7000億円が確保されたということは良いことで、制度に反対はしない」と述べた。

 新制度では待機児童の8割を占める0~2歳の保育を確保するため、家庭的保育や事業所内保育などを「地域型保育」として新設。認可施設として国や自治体が補助金を提供するが、鍵を握るのがマンパワーだ。北野会長は「今働いていない潜在保育士が保育園で働いてくれれば、今でも待機児童は解消される。劣悪な環境で頑張っている保育士の心が折れないよう人並みの給与にならないといけない」と訴えた。

 ●新制度は「きっかけ」 一丸となって知恵を 奥山千鶴子氏が基調講演

 シンポジウムでは、新制度の具体化を進める政府の「子ども・子育て会議」の委員で、NPO法人・子育てひろば全国連絡協議会の奥山千鶴子理事長が基調講演した。要旨は次の通り。

 今の日本は、安心して子育てをできる社会とは言い難い。子育て中の30~40代が長時間労働で両立が難しい。若者の多くは非正規という不安定な職で子どもを産み育てる経済的な不安を抱える。新制度では全ての子どもが親の状況にかかわらず等しく幼児期の教育や保育を受けられるよう集中的に取り組む。7000億円の財源を子どもに使う大切な一歩だ。

 新制度は子ども1人当たりの保育・教育にかかる経費(公定価格)の算定が複雑など不安もあると思うがきっかけと考えてほしい。どのように子育て支援の質と量を充実させるかは市町村の裁量に任される。わがまちの子どもたちの健やかな育ちに向け、行政、事業者、保護者、地域が一丸となり知恵を出してほしい。


=2014/09/06付 西日本新聞朝刊=

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