【アトピーは和食で治す】<下>下関市立市民病院・永田医師に聞く 症状は体の防衛反応 過剰な植物油 かゆみの要因

患者の皮膚の状態を診察する永田良隆医師(左)
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 原因が分からないアトピー性皮膚炎に対し、伝統的な和食に戻すという栄養学的アプローチで1万人以上の治療にあたり、その8割を解決に導いてきた山口県下関市立市民病院の永田良隆医師(74)。10日付の(上)に続き、アトピーを治す臨床的なこつと、家庭でできる実践法について解説してもらった。

 -アトピーの体の内側からわきあがるかゆみや湿疹の原因は何なのか。

 体内に入った余計なものを排出する際に起きる「体の防衛反応」と解釈している。体に合わない、消化分解できないほどの量の食べ物が入ってきたときに起きる現象だからだ。高タンパク高カロリーの食品を処理できない人に多く、腸内環境の悪化も原因になると推測している。

 -植物油を減らすことを提唱されているが。

 アトピーが最初に現れるのは頭や顔、脇の下、腕の関節部分で、いずれも皮脂腺が多く集まる部位。植物油を取り過ぎると、普通翌日にはかゆみが出るので分かりやすい。だがこれまで、植物油がかゆみを引き起こす要因となることは気づかれず、見逃されてきた。

 -和食との関連は。

 食べ物にはアレルギー反応を促進するものと、逆に抑えるものがある。脂質栄養学でいえば、脂肪酸にはオメガ3系とオメガ6系があり、オメガ6系が優位になるとアレルギー反応にスイッチが入り、逆にオメガ3系優位では抑制される。

 表を見ると、オメガ3系は和食に多く、オメガ6系は洋食に多いが、いずれにせよ脂肪分の摂取は1日の総カロリーの15%程度に抑える必要がある。特に植物油は高カロリーなので、乳幼児の場合だと炒める程度に使い、適量に保つ必要がある。

 -次のポイントは。

 牛乳、卵、肉類など、魚を除く動物性タンパク質の取り過ぎも問題だ。タンパク質はあらゆる体の材料となるから、成人はもちろん、成長期にある乳幼児、学童には特に必要な栄養素だが、1万~5万単位の分子量をもつ牛乳や卵が最終的に体の役に立つには、分子量が100単位のアミノ酸レベルにまで分解されなければならない。だが、それらの食品を毎日取ることによって食べ過ぎとなり、そこまで消化されていない。

 -完全に分解されないとどうなるか。

 消化する過程で、アミノ酸が10個以上つながった塊をポリペプチドという。かつてポリペプチドは、分子量が大きいため、腸からは吸収されないといわれてきた。だが今日では、健康な人でも腸の状態が悪化すると、栄養を吸収する腸管粘膜の網の目が広がり、血液中に取り込まれることが分かってきた。

 余分なポリペプチドは、妊娠中であれば胎盤を介して胎児へ、授乳中であれば母乳から乳児へ、小児の場合は皮膚や気道へ移行する。それが皮膚に噴き出し、かゆみのもとになっているというのが、臨床から見た私の考えだ。

 -要は日々の食生活か。

 運動すればカロリーも消費されるし、よくかむことも消化を手助けするが、まずは体力がなく、運動量の少ない乳幼児期は和食にすること。成長して運動量が増えれば洋風の食材も加えていく。体ができあがった人は運動するときだけ高カロリーの食事にする。あくまでも食べ過ぎに注意するのが基本だ。

 アトピーは、患者やその家族にとっては負の体験といえる。だが逆に見れば、家族の食生活の不適切さに早く気付けたということ。将来の生活習慣病を回避するための、食生活を見直すきっかけととらえ、諦めず前向きに取り組んでほしい。


=2014/09/17付 西日本新聞朝刊=

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