【こんにちは!あかちゃん 第22部】 人口増へ 走る自治体<2>育てイクメン 父子手帳

和歌山市の父子手帳「和歌山 男の子育て指南本」。「パパタイプ」を診断するチャートが面白い
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宮崎県が発行している「パパのイクメン手帳」
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 《厚生労働省の統計によると、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回ったのは1997年。その後も共働き世帯数は増え1千万世帯を突破した。子育ては夫婦の協力があって成り立つもの。近年は少子化対策として、男性の子育て支援に力を入れる自治体も増えてきている》

 子どもの叱り方に、絵本を選ぶこつ…。10月上旬の日曜日、福岡県飯塚市で開かれた「パパスクール」は、こんな「井戸パパ会議」で盛り上がった。

 講座は県が今年初めて企画。NPO法人ファザーリングジャパン九州(FJQ)が協力し、県内4地区で開いている。講師を務めた森豪さん(34)は「1時間半早く出社し早く帰宅する」「夫婦2人で話す時間をつくる」など、自身の体験を基に参加者に助言した。

 1歳児の父親で福岡市の会社員池田剛さん(29)は「仕事を理由に家事も子育ても妻に任せきり。少しずつでも変わりたい」と参加した。妻の春香さん(30)は「最近は手伝うことある?と声をかけてくれるようになって。変化に驚いています」。

 《育児に積極的に関わる男性を指す「イクメン」。2010年に新語・流行語大賞のトップテンに入り、いまやすっかり定着した。厚労省の調査では、夫の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生率が高い。だが、日本の男性が家事・育児に費やす時間は1日わずか1時間で、先進国で最低の水準だ》

 そんな中、母子健康手帳とセットで「父子手帳」を交付する自治体が増えている。

 2年前に発行を始めた和歌山市の手帳は、「気軽に手にとってほしい」と雑誌のような作り。地元ゆかりの偉人に当てはめた「パパタイプ」をチャートで分類し、民俗学者南方熊楠タイプの自由人パパは「自分の所在は明らかに」、8代将軍徳川吉宗タイプの貫禄パパは「黙っていては伝わらない」と助言するなど、ユーモアたっぷりの内容だ。

 宮崎県は「パパのイクメン手帳」を今年4月から配布している。おむつの替え方や寝かしつけなど基礎知識のほか、「妊娠中にママがしてほしかったこと」なども盛り込み、写真を貼り付けて子どもの成長記録帳としても使えるようにした。

 育児中の家庭からも欲しいと要望が相次ぎ、来年度分を前倒し発行するほど好評で、手帳を活用した育児講座も各地で開かれている。こども政策課の古谷信人さん(40)は「私自身、子育てで何をしていいか戸惑った。手帳が、妊娠出産を経験しない男性が父親になるスイッチになれば」と話す。

 《妊娠、出産に関する支援といえば、これまで女性を対象にしたものがほとんどだった。無精子症など男性に原因がある不妊治療に対して、独自の助成制度を設ける自治体も出てきた》

 国の制度は、体外受精や顕微授精など保険が適用されない「特定不妊治療」が対象。年間所得730万円未満の夫婦に、1回最大15万円を助成している。だが、不妊の原因の半数は男性にあるとされる。そこで、福井県と三重県は本年度から男性不妊治療に1回最大5万円を国の助成に上乗せする制度を始めた。

 大分県は他県に先駆けて03年から、県独自の助成制度を設けている。年10万円を通算5年間、所得制限はなく、男性不妊や人工授精にも使える。県の担当者は「経済的負担の大きい治療に対し、幅広く使える制度なので好評」と説明する。

 ようやく広がり始めた男性への支援。FJQ副代表理事の内木場豊さん(37)は「女性の社会進出が進んでも、男性の家庭進出はなかなか進まない。さらなる取り組みが必要だ」と指摘している。


=2014/10/22付 西日本新聞朝刊=

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