【自由帳】対話型PTAの勧め 気付きや学び広げる場

草ケ江小学校であった「ワールドカフェ」方式のPTA会合。テーブルの上に紙を敷き、会話で出たキーワードを自由に書いていく
草ケ江小学校であった「ワールドカフェ」方式のPTA会合。テーブルの上に紙を敷き、会話で出たキーワードを自由に書いていく
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 「ワールドカフェ」をご存じだろうか? 総会や会議などの堅苦しい雰囲気ではなく、少人数に分かれてテーブルを囲み、カフェにいるような感覚で、参加者たちが自由に語り合う。1990年代後半から世界的に普及し始めた手法で、ビジネスや地域づくりなどの話し合いでも見られるようになった。

 コーヒーやお菓子もちゃんと用意されている。途中で席替えもあり、一つのグループだけではなく、ほかのグループの意見や視点にも学ぶ。グループを「一つの国」と捉え、まるで「知」の世界旅行をしているような感覚になる。

 福岡市中央区の草ケ江小学校(児童数726人)では11月、このワールドカフェ方式でPTA会合が開催され、約100人の親が参加した。同校PTAでは例年この時期、専門家を招き、講演会を開催していた。講師の視点に学ぶことも多いのだが、「もっとみんなで語り合いたい」という要望を受け、初め
て試みた。

 ☆ ☆ 

 最初のテーマは「子育ての中で最高に幸せと思うこと、苦しいと思うことは何?」だった。

 ファシリテーター(進行役)を務めたのは、住民参加型の学校づくりにも関わる山口覚(さとる)さん=福岡県福津市。「人の話に耳を傾け、絶対に否定しない。それだけがルールです」。4人前後のグループでの話し合いが始まった。

 「子どもとほおずりしたり、ハグ(抱き締める)したりする瞬間が幸せ」「子どもが嫌がったり、恥ずかしがったりする瞬間に、逆に成長も感じるよね」

 「最近の子どもたちって、大変そう。学校から疲れて帰ってくる」「そうそう。決まりやルールが厳しすぎない?」「学校では、ふわふわ言葉(優しい声掛け)が奨励されているけれど、もっと子ども同士のぶつかり合いがあっていいんじゃない」「そういえば、ドラえもんのジャイアンみたいなボス型の子どもが少なくなったよね。のび太タイプが増えていない?」

 必ずしもテーマに沿って進んでいないが、その脱線こそが興味深い。

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 途中、子育て支援や学童保育に関わる石橋裕子さん=佐賀県=の話も。

 「ピザを3人で食べるとき、日本では3等分しますよね。でも、世界一幸せな国とされるデンマークでは、最もおなかをすかせている人に全部あげる」「愛は探すものではなく、つくっていくもの」

 続くテーマは「大人も子どもも幸せになる子育てとは?」。思考をより深めるテーマ設定だ。しばらく話し合った後、いよいよ席替え。「世界旅行タイム」として、1人を残し、メンバーが入れ替わり、新たな顔ぶれで話した。

 「何でも言い合える親子関係づくり」「傷ついたときの再生、復元力」。そんなキーワードが徐々に浮かんでくる。

 やがて元のテーブルにメンバーが戻ると、外の議論を紹介。それぞれが感想を語り合った。話し合いには校長も加わり、「新しい国に行ったようだった」と、父母からの意見をノートにメモしていた。

 学校では、先生から子どもたちへ、教え授ける授業ばかりでなく、子ども同士の学び合い(教え合い)を深める「対話型授業」が広がりつつある。PTAという組織のあり方を問い直す意味でも、対話型PTA会合は大人たちにとっても、学びや気付きを広げる場になったようだ。 


=2014/12/09付 西日本新聞朝刊=

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