成年後見制度 手続きは? 「任意」と「法定」 身寄りない場合は市町村長が申し立ても 開始の可否、家裁が判断

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 国の推計では10年後、高齢者の5人に1人に当たる約675万人が認知症になるとされます。認知症になればお金の管理が難しくなるなど、さまざまな不便が出てきます。そんなとき、第三者が本人に代わって財産管理や法律行為を行う成年後見制度は大きな支えになるはず。利用するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。制度に詳しい司法書士の恒松史帆さん(39)=北九州市=に聞きました。

 -後見制度とはどんな制度ですか

 高齢者自身の判断能力が衰える前に利用できる「任意後見」と、判断能力が衰えた後に利用する「法定後見」の2種類があります。

 任意後見では、あらかじめ「任意後見人」という支援者を決めておき、支援が必要になれば支援を受けます。法定後見では判断能力がほとんどない「後見」▽著しく不十分な「保佐」▽不十分な「補助」-の三つに区分されます。

 任意後見も法定後見も、家庭裁判所が後見開始の可否を判断します。家裁に申し立てをできるのは本人、配偶者、4親等以内の親族ら。身寄りがない場合は市町村長が申し立てることもあります。

 -申し立てに必要な書類などはありますか

 家庭裁判所に定型用紙がある申立書、収入印紙、戸籍謄本、住民票、財産目録、預金通帳、年金証書などが必要です。認知症について医師の診断書も必要ですが、「物忘れ外来」など専門医でなくても、内科や整形外科などのかかりつけ医の診断書でも大丈夫。詳細は家裁に申し立ての手引があり、ホームページからダウンロードできます。

 -申し立て後はどうなるのですか

 必要に応じて裁判官から直接事情を尋ねられます(「審問」といいます)。申立人のほか、本人、後見人・保佐人・補助人の候補者が事情を聴かれます。審問では、申し立ての内容が適切かどうか▽法定後見の場合、後見、保佐、補助のいずれに該当するか-などを審査します。体調が優れないなどの理由で本人が欠席し、生活状況を確認したい場合は、家裁の調査官が自宅や入所している福祉施設などを訪問しながら聞き取りをします。後見、保佐については必要に応じ、専門医による本人の鑑定を行います。これらを踏まえて、家裁が後見(保佐、補助)を開始するかどうか、開始するならだれを後見人(保佐人、補助人)にするかを決定します。

 -申し立ての注意点は

 成年後見制度は本人の利益を最優先とするものです。申立人の希望する後見人が選ばれなかったり、申立人の思い通りの財産処分ができなかったりしても、一度申し立てれば原則、取り下げることはできません。後見が始まれば本人が亡くなるまで続きます。

 後見人は家族や親族のほか、司法書士や弁護士などがなっています。後見人の仕事が大変だからといって、途中でやめることはできません。後見人になろうとする人は覚悟が必要です。詳しくは専門家に相談してください。

 ◇公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート福岡支部=092(738)1666。


=2015/09/12付 西日本新聞朝刊=

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