認知症 “伴走”へ一歩/徘徊高齢者 施設で保護します

施設の利用者と語らう宮本勝子さん(左から2人目)と小鷹狩ひろ子さん(同3人目)
施設の利用者と語らう宮本勝子さん(左から2人目)と小鷹狩ひろ子さん(同3人目)
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■認知症 “伴走”へ一歩 北海道-福岡「RUN伴」 地域の理解目指す 
 認知症の人や家族、支援者らがたすきをつないで日本列島を縦断するイベント「RUN伴(ランとも)」が1日、福岡県大牟田市でゴールした。北海道から九州までのたすきリレー総距離は約3千キロ。初開催の九州では約千人が参加し、「認知症の人は何もできないわけじゃない」「認知症の人に優しいまちを」など理解の輪が広がった。

 RUN伴は「NPO法人認知症フレンドシップクラブ」(東京)が認知症への理解を深めようと2011年から毎年開いている。毎回北海道をスタートし、これまで東京、大阪、広島と距離を延ばしてきた。5回目の今年は初めて九州に到達。7月に北海道北見市を出発し、10月31日と11月1日には、山口県下関市から福岡県大牟田市まで約170キロを駆け抜けた。

 福岡県筑後市では、認知症の女性(77)がしっかりした足取りで走り「これからも頑張ります」と笑顔を見せた。声援を送った次女(50)は「体を動かすのが好きだった母はまだ走れると分かって希望が持てたと思う」と喜んだ。

 福岡市博多区では、筑紫女学園大(福岡県太宰府市)人間科学部社会福祉コースの約70人が「認知症でも無限の可能性」などの紙を手に応援した後、認知症サポーター養成講座を受けた。将来は高齢者施設で働きたいという3年山本紗菜(すずな)さん(21)は「最初は認知症の人との接し方が分からなかったが、関わり方次第で名前も顔も覚えてくれると分かった。若い世代や地域の人にも認知症のことを知ってほしい」と話した。

 大牟田市では雨の中、約100人がゴールを祝った。福祉や医療、行政関係者などでつくる実行委員会の吉沢恵美さん(46)は「みんなが笑顔で参加してくれ、認知症になっても安心して暮らせる地域への可能性を感じた。誰もが暮らしやすい地域づくりの一歩にしたい」。来年は鹿児島までの九州縦断を目指す。
■徘徊高齢者 施設で保護します 福岡市南区

 徘徊(はいかい)しているお年寄りを見つけたら、遠慮せずに連れて来て-。福岡市南区の介護施設が、身元の分からない認知症の人を一時保護する態勢づくりに乗り出した。高齢者が住民に見守られ、安心して暮らせる地域を目指している。

 同区社会福祉協議会がデイサービスや特別養護老人ホームなどに呼び掛け、6月にスタートした高齢者支援事業。28施設がそれぞれの機能を生かし、高齢者向け行事に会議室や車いすなどを貸し出したり、各種講座にスタッフを派遣したりする。徘徊する人の一時的な保護も支援の一つで、22施設が参加している。

 きっかけは昨年の出来事だった。80代ほどの女性が弥永西校区で住民を呼び止め「タクシーを呼んで」と求めた。居合わせた宮本勝子さん(75)は、要領を得ない話に認知症ではと思い、交番に助けを求めたが不在だった。急いでいたためタクシーを呼んで立ち去ったものの、その後が気になっていたという。

 宮本さんと知り合いで、同校区内で介護施設を営む小鷹狩ひろ子さん(67)は話を聞いて「うちに連れて来てくれたら対応できたのに」。このやりとりが支援事業につながった。

 「認知症かなと気付いても、どうすればいいか分からない人や、責任が持てないからと声を掛けられない人もいる」と小鷹狩さん。「私たちがいれば地域の人も安心して関われる。お互いさま、おかげさまの地域づくりができるはずだ」と話した。 


=2015/11/05付 西日本新聞朝刊=

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