首凝り もまずにほぐして 悪化すると心身不調も

松井さんが独自開発した低周波治療機器での治療もある
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 首の凝りに悩み、もんだりたたいたりする人は多いのではないだろうか。これに警鐘を鳴らす脳神経外科医が東京脳神経センター理事長(東京)の松井孝嘉さん(76)だ。「首の後ろの筋肉は『脳の一部』と呼べるほど非常にデリケートだから」と理由を説明。同時に、首の筋肉の凝りは頭痛やうつなど心身の多くの不調の原因として「首こり病」への注意を呼び掛けている。

 首が凝りやすいのには理由がある。首の筋肉は複数が寄り合うようにして骨(頸椎(けいつい))を包んでおり、それぞれは細くて伸縮が少ないのが特徴。松井さんによると、頭を支え続けているため、常に疲労した状態にある。特にパソコンやスマートフォンの操作などうつむいた姿勢だと負荷は3倍になり、長時間操作が日常的になった近年は首の凝りを訴える患者が増えている。

 長年の研究から松井さんは、首の後ろに副交感神経が集中する部分「副交感神経センター」を見つけた。副交感神経は心拍数や呼吸を穏やかにする自律神経で、リラックスした時や就寝時に優位に働く。詳しいメカニズムは未解明だが、首の筋肉が凝ると副交感神経が圧迫されて働かなくなる状態を招くという。

 この自律神経失調が頭痛やめまいの原因。さらに「自律神経失調症が進行すると、吐き気や血圧不安定などが現れ、深刻化するとパニック障害やうつになる」と説明する。逆に首の筋肉を正常に戻すと多くの不調が改善するとして、松井さんはこうした症状を「首こり病」と呼んでいる。

 首こり病の特徴的な症状は、体のだるさを訴え「すぐに横になりたくなる」こと。首の筋肉が疲労してきて、重い頭を支えるのがつらくなってきた証拠という。体温調節機能がうまく働かないため風邪をひきやすく、微熱が続くこともある。原因不明の微熱は首凝りによる可能性が大きいと指摘する。

 松井さんによると、首凝りを予防するには、長時間うつむきっぱなしの姿勢をやめ、筋肉を縮ませて緊張をほぐすことが大切だ。15分ごとに30秒、筋肉を縮める「ネック・リラクゼーション」を実行するのが理想と主張。頭を後ろに倒すことで首の後ろ側の筋肉が緩み、凝りが和らぐ。

 首をもんでしまうと、きゃしゃな筋肉を傷つける恐れがあり、症状を悪化させかねない。日ごろから入浴や蒸しタオルで首を温めるのも効果的。高すぎる枕に注意した上で、十分な睡眠を取り「頭の重みの負担から解放される時間を確保してほしい」と話している。

 松井さんは東京大医学部卒。米留学中に全身用CT(コンピューター断層撮影)スキャンの開発に携わり、日本国内の普及にも尽力した。長年の臨床経験からむち打ち症、頭痛、うつなどの患者に首がひどく凝っているという共通点があると気づき、首こり病の治療に傾注。現在は独自に開発した低周波治療機
器で効果を上げているという。

 2015年3月、名古屋、神戸に続く首こり病専門のクリニックを福岡市博多区博多駅東に開業、予約制で診療している。同クリニック=092(483)6555。 


=2016/04/02付 西日本新聞朝刊=

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