避難所 妊産婦に配慮を 授乳室、水や食料多めに

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 災害時の避難生活では、目が届きにくい妊産婦や乳幼児。東日本大震災などの被災地でも支援の遅れや配慮不足が問題となってきた。どんな支援が必要なのだろうか。

 強い地震が続く熊本県では15日から、県助産師会の会員が避難所を巡回している。妊産婦や乳幼児のいる家庭を訪ね、分娩(ぶんべん)の不安や健康状態などの相談に乗る。

 坂梨京子会長(58)は、「まずは避難所に授乳スペースを設けてもらいたい」と訴える。母親が人目を気にせずにおっぱいをあげ、着替えられる場所は、性犯罪を防ぐためにも必要だ。

 おむつや粉ミルクの支援は少しずつ増えてきたが、まだ水が不足している避難所もある。赤ちゃんを沐浴(もくよく)させるお湯が十分になく、湿疹やおむつかぶれの相談が多い。そこで、目や口から洗うなどして洗面器1杯のお湯で沐浴させる方法を指導している。

 母乳育児中の母親は普段よりたくさんの水分が必要だが「みんな大変なのに私だけ欲しいとは言えない」などと、声を上げにくい状況もあるという。助産師たちはこうした問題を抱える人たちに助言する一方で、行政に避難所の環境改善や配慮を求めている。

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 東日本大震災で被災者を支援した福島県助産師会の石田登喜子会長(65)は、「避難所では周囲の理解が大切」と話す。

 避難生活が長引いてストレスが募ると、赤ちゃんの泣き声に不満を持つ人も出てくる。福島では乳幼児がいる家庭が避難所を出て車内で過ごしたり、身内を頼って転々としたりした。この結果、行政が被災状況を把握できず、物資や情報を届けられないことが課題となった。石田さんは「母子向けの旅館やホテルなど、2次避難所を設けてほしい」と指摘する。

 水や粉ミルク、離乳食が足りないときは「ジュースしかなくても母親が飲めば母乳になる。離乳食を一時的に母乳に戻してもいい。赤ちゃんのためにも、母親に優先的に食事や飲み物を分けてほしい」。

 そもそも母乳が出にくい人もいる。東日本大震災では、粉ミルクが手に入っても哺乳瓶を消毒できずに困る人が多かった。そんなときは新しい紙コップやスプーンで少しずつ飲ませる方法が有効だったという。

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 厚生労働省は熊本地震の直後、避難中の妊産婦や乳幼児について体調管理の注意点を公表した=図参照。

 主な注意点は、赤ちゃんは体温調整機能が未熟なため、低体温症や脱水症になりやすい▽粉ミルクにペットボトル水を使う場合、ミネラル分の多い硬水は肝臓に負担をかけ、消化不良を起こすこともある▽妊産婦は血栓ができやすく「エコノミークラス症候群」の危険が大きい▽弁当などは塩分摂取量が増え、体がむくみやすくなる-など。

 妊産婦が不安を抱え込まないよう周囲と話し合ったり、子どもを遊ばせる時間をつくってストレスを和らげたりできる環境整備も呼びかけている。

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 助産師が妊産婦・乳幼児の心身に関する悩みに応じる電話相談窓口は、日本助産師会=03(3866)3054=は祝日を除く月~金曜の午前9時~午後5時。熊本県助産師会=096(325)9432=は同午前10時~午後4時。


=2016/04/22付 西日本新聞朝刊=

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