低出生体重児の会「カンガルーの親子」 悩み分かち合い10年 福岡県に5カ所、150人

「カンガルーの親子」代表の登山万佐子さん(左)と北九州市の「さんさんっ子」のメンバーたち=北九州市小倉北区
「カンガルーの親子」代表の登山万佐子さん(左)と北九州市の「さんさんっ子」のメンバーたち=北九州市小倉北区
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保育器の中で眠る生後40日の登山綾美ちゃん
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 低体重で生まれた赤ちゃんと家族のための会「Nっ子クラブ カンガルーの親子」(福岡県筑紫野市)が今秋、発足から10年を迎える。「Nっ子」は新生児集中治療室(NICU)で過ごし、小さな体で手術などの困難を乗り越えた子どもたちを指す。その親たちがわが子の成長や発達の不安を語り合う場は県内5カ所に広がり、4月から「Nっ子ネットワーク」として活動の幅を広げていく。

 同会は、本紙生活面で「小さな命のキセキ」(2015年4~9月)を連載した登山万佐子さん(46)が07年11月に立ち上げた。自身の長女綾美さん(10)は出産予定日より4カ月も早い妊娠23週、体重わずか452グラムで生まれた。生後6カ月間をNICUで過ごし、脳出血や肺出血、未熟児網膜症の4度の手術などを乗り越えた。2歳で脳性まひと診断された。

 厚生労働省によると、体重2500グラム未満で生まれた「低出生体重児」の割合は1975年の5・1%から、2009年は9・6%と増え続けている。ただ、15年の統計では、体重千グラム以上1500グラム未満の「極低出生体重児」は4426人で0・44%、体重千グラム未満の「超低出生体重児」は3084人で0・31%と、とても少ない。

 「わが子はどう育つのか」…。登山さんが綾美さんを出産した当時、育児書に参考になる情報はほとんどなく、低出生体重児のための会も見つからなかった。綾美さんが1歳になったのを機に「悩みを語り合い、励まし合える場を」と会をつくった。

 会員は現在、約150人。「Nっ子」たちは0歳から30代までと幅広い。NICUがある福岡徳洲会病院(同県春日市)や飯塚病院(同飯塚市)などで定期的に出張おしゃべりサロンを開催。北九州市や行橋市、柳川市、桂川町で姉妹グループが誕生し、各地で交流会が開かれている。

 その一つ、北九州市の「さんさんっ子」は13年11月にできた。メンバーの阿部才子(たえこ)さん(33)は長男孝紀さん(8)が妊娠32週、体重1422グラムで誕生。病院や助産師には「そのうち大きくなる」と言われるだけで不安は消えなかった。同市での出張おしゃべりサロンで「同じ境遇の人がいっぱいいる。何でも話して」と言われ、心が軽くなった。

 安部祐子さん(40)も長男剛汰君(4)が妊娠23週、体重728グラムで誕生。安部さんはサロンに来るまで泣いたことはなかったが、登山さんに、小さく生まれたのは「あなたのせいじゃない」と言われて初めて涙がこぼれた。NICUに母乳を届けるための搾乳で、青あざが残る胸を見て「頑張ってるね」と認めてもらえたのもうれしかった、と振り返る。

 登山さんの長女綾美さんは今、小学4年生。身長118センチ、体重17キロと体は小さいが、手すりがあれば自分で階段を上れるようになり、1月の持久走大会では歩行器を使って目標の距離を走りきった。「落ち込むこともあったけど、安心して気持ちを話せる仲間がいたからやってこられた」と登山さん。

 「小さい赤ちゃんを産んだお母さんたちは次から次に起こる試練に必死で踏ん張り、我慢している。そんな緊張が緩む場になればうれしい」と話す。活動のモットー「親の笑顔が子どもたちの一番の栄養!」は10年たっても変わらない。

 Nっ子ネットワークの問い合わせは登山さんのメール=kangaroo2007oyako@gmail.com=へ。


=2017/03/16付 西日本新聞朝刊=

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