素敵な老練 デイサービスで物作り 洗練の美 「今できること」が社会につながる

電動ドリルで石に穴を開ける若林恭人さん(左)と香月真さん
電動ドリルで石に穴を開ける若林恭人さん(左)と香月真さん
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「Roren」展示会。ランチョンマットや革小物など洗練された作品が並ぶ=3月、福岡市博多区
「Roren」展示会。ランチョンマットや革小物など洗練された作品が並ぶ=3月、福岡市博多区
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80歳で始めた織物に熱中する女性(85)
80歳で始めた織物に熱中する女性(85)
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流木を使った一輪挿し
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 デイサービス(通所介護)に通う高齢者の老練な技術で、洗練されたインテリア雑貨や小物などを生み出す活動がある。名付けて「Roren(ローレン)」。作り手は要介護状態にある75歳以上の人たちだが、バーや一戸建ての内装に使われるなど、若い世代にも好評だ。

 福岡市南区のデイサービス「シティケア長住」(定員35人)。体操をする人の傍らで、若林恭人さん(100)は流木に電動ドリルで穴を開け、一輪挿しを作る。エプロン姿の中島勇さん(79)は革細工に励む。

 「Roren」は2015年2月、作業療法士の香月真さん(35)が始めた。できないことが増えていく高齢者の残った能力を生かして社会参加できる方法を模索した。

 現在、通所者のうち約20人が希望して物作りに携わる。いずれも要支援1~要介護2の後期高齢者。香月さんは「物資不足の戦後を過ごしたお年寄りは、自分で足りない物を作り、修理してきたせいか、ほとんどの人が物作りに慣れ、老練な知識と技術がある」と気付いた。それだけに「今の70代以上にしかできない活動」とも言う。

 タペストリーやコースター、ペンケース…。香月さんが外国のインテリアサイトなどを参考にデザインや配色を考え、漂着物や外国の古布など素材を集め、簡単な製作法を考える。例えば、棒針編みはできなくても、編み目の大きい編み物ならできる人はいる。そして、お年寄りはデイサービスの一環として取り組む。

 これまでに、福岡市のインテリアショップなどで展示会を5回開き、作品は完売。購入者からは「心を込めて作られている様子が浮かびます」「丁寧な仕上がりにほれ込みました」などの感想が寄せられた。収益は材料費や地域への寄付に充てている。

 作り手の1人暮らしの女性(85)は5年前に福岡市に引っ越してきて、近所に知り合いも少ない。要介護1で「何もすることがなく苦しかった」が、織物を始めて生きがいができた。作品が売れ「80を過ぎても人の役に立ててうれしい」と笑う。革小物を作る中島さんも「一番楽しい時間」と、自ら革を買
いに出掛け、自宅でも作業するようになった。

 香月さんは「社会とつながる機会が持てれば、できることが減っていく高齢者も有能感を保て、生活の質は上がる」と活動の意義を感じている。問い合わせはシティケア長住=092(554)0294。


=2017/04/13付 西日本新聞朝刊=

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